抜け出せない。

夜。夜。夜。夜! 走っても走っても、どこまでも追いかけて来る。抜け出せない。体力が切れる。肩で息をする。この街はまるで、出口のない迷路みたいだ。そう思ったらまた不安になって、夜の街を再び駆け出す。路地裏から能面がこちらを覗いていた。必死に逃げ惑う僕を哀れんでいるかのように見えた。

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