お揃いだね。

「なぁ……笑えよ」
あの日、あの夜、あの路地裏で、ボクは見知らぬ少女の口を裂いた。彼女の顔からはいかなる感情も感じられなかった。楽しいのか、怖いのか、悲しいのか、何も分からなかった。だから、硝子の破片で口を裂いた。
「お揃いだね」
あの時初めて浮かべた笑みを今でも隣で浮かべている。

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