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飼育。

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その廃墟には、化け物が棲んでいる。全10話。
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僕の能面は満足気だった。

「夜毒蛙」と水鉄砲を取り合っていたら、銃口から飛び出した液体が近くにある建物へ入って行っ…

それでもいいと思えた。

初めて、街の空気を美味いと感じた。悪意と狂気と暴動で汚れた夜はただの毒だった。そんな害悪…

凶悪が踊る地獄を。

朦朧とする意識の中、耳を劈くような絶叫を聞いていた。窓の外から飛んで来た液体が大男の頭を…

ただの廃人だ。

重い扉を開ける。異臭が漂う。鼻がぶっ壊れる程のイカれた臭いが好きだ。人間が正気を保てなく…

飼育。

どれぐらいの期間、痛め付けただろう。蟲が這い、嗤い声が絶えず響き渡るこの部屋で雑魚共を飼…

黒く汚れた空中に。

「街を救え。お前が救え」 ふとした時、能面が僕に語りかけてくる。それはつまりきっと街から…

僕の能面も欲しがっている。

最近、蛙のマスクの少年をよく見かける。「夜毒蛙」なんていう物騒な名前らしい。彼はただ蛙のマスクを被っているだけじゃない。人を溶かすのだ。いや、冗談じゃなく。彼が水鉄砲で放った液体を浴びた人間は、水溜りになる。僕も欲しい。僕の能面も欲しがっている。 「それ、欲しい」 「溶けたいの?」

雑魚。

雑魚、雑魚、雑魚。俺の前では誰もが間違いようもなく、塵以上微塵子以下だ。パンダのマスク、…

獲物を待つ巨大な化け物。

夜の廃墟は暗闇の中で大きな口を開けて獲物を待つ巨大な化け物みたい。俺達は自ら食べられに行…

夜雨の音に精神を。

雨の音が真っ暗な室内に響く。意識が朦朧とし、身体中が痛い。金属バットを握る手に力が入らな…