見出し画像

”マーケティング”に「酔わない」ために

特にデジタルマーケティングにかかる業務の場合、データ活用において、”数字”を相手にすることが多いと思います。
「数字、データは嘘をつかない」
「数字、データがないとマーケティングできない」
よく耳にするフレーズかと思います。
もちろん、数字・データは大事です。ただ、数字を「読む」ことが重要な点であって、「並べる」だけでは数字=データですらありません。

”数字”と取り組むときに陥りがちな点について、書いていきます。


なんのための「データ」か。

事業の拡張、持続性、再現性を高めるために、データを活用するのは大事なポイントです。BtoBのサービスを提供する企業さんから受けるご提案内容も、「データ取得」から「データ活用」にシフトしてきているのが、とても実感できます。
では、何のためにデータを取るのでしょうか。データを取るだけでは事業の拡張はできません。シンプルに言えば、

「次の打ち手の確度をあげるため」「精度の高い仮説をつくるため」

と言えます。
この点を見失うと、データに”酔う”事態になるかもしれません。また、逆の言い方をすれば、「次の打ち手」「高精度の仮説」が確定できているのならば、データを取る必要もありません。

数字に”酔う”ことのないように

ECサイトのアクセス解析を例にとります。流入数やコンバージョン数(購入、申し込みなど)はじめ、いろいろな数字を見ることができます。例えば、特定ページの「滞在時間」という数字。一生懸命書いたコンテンツをほんとに読んでくれているのだろうか...を表すページのひとつ。何秒ならOKという設定はありますか?例えば30秒くらいで読めるコンテンツがデータを取ったら、平均50秒だったとします。このとき、
「平均50秒だから熟読してもらっている」と考えるのは早計です。訪問していただいた人は、次にどこにいったらよいかわからなくて時間だけ過ぎてしまったのかもしれません。あるいは文字が多すぎて読みにくいために平均50秒かかったのかもしれません。
数字の表す「意味」を考えましょう。または最初の設計時に「自分が読んでも30秒くらいで読めるな」という軸を設定しておくことです。

そして考えても正解が見つからないものであれば「見ない」判断も必要です。
「50秒」の意味があるとすれば、「比較」による評価です。「前回投稿したコンテンツの時には平均30秒だった」ということであれば、今回のコンテンツにより「改善」と言えるかもしれませんよね。50秒が正しいかどうかは誰にもわかりません。でも+20秒は評価することができます。

データを「ぜんぶ」見る必要は、まったくありません。

同じ例でいうと、そもそも、「そのコンテンツから次に行ってほしいページ」があるのならば、滞在時間はデータとして取得する必要はありません。
目標が「ECサイトでのコンバージョン数」であるならば、そのコンテンツが目標到達に貢献しているかどうか、という見方をします。相関性がないようなら、データ取得しても大きな意味はないのかもしれない。

ツールには、たくさんのデータが見られるようになっています。すべてのデータを見る必要はもちろんありません。そんなことをしようとしたら、データの波に酔ってしまいます。
複数のデータを並列で見るのはよくないです。データにも「優先順位」をつけましょう。

ざっくり言うと、見るべきデータは、「目標」から逆引きして、ひとつ前、もうひとつ前、これくらいで十分です。
商品購入が目標なら、購入率、当該商品のページ訪問人数、ここまでで十分です。


もうひとつ”酔う”可能性が

前段と少し重なりますが、目標から離れたデータであればあるほど、そしてたくさんの場面のデータを取ればとるほど、1日じゅう”数字”と相対することになります。そうするとどうなってしまうか、というと、
「数字、データを取ることが目的になってしまう」
という可能性が
あります。
つまり、目標から離れた、例えば「訪問数」までデータ取得を広げてしまった場合。極端な例でいうと、(目標である)コンバージョン数を加味せずに、訪問数が増えればOK、という判断をしてしまうことも。
そして「訪問数を増やしている自分は、データ活用できてんぢゃね」って思っちゃうことがコワイです。数字を扱っていると「データいぢっている感」が増していきます。このように”酔う”ことのないよう、必ず「目標」は意識しましょう。


...と言っている私も、「データを取ること」だけに執着して、目標を見失ったこともあります。また、「データマーケティングできてるぜ」と過信してしまったこともあります。これを軌道修正したのは、一度ぜ~んぶ経験したから、だと思っています。つまり「無駄なことをしてしまって、無駄を無駄と判断することができるようになった」ということ。
でも、これから事業を広げていこうとしている方々には、もう少し「近道」をしてほしいと思います。なので少しでもヒントになれば...

データに惑わされることのないよう、データを「使う」ことのできるように

”酔わないクスリ”になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?