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「ツール導入」したらすべてうまくいく...はずがない!

「ツール導入」したらすべてうまくいく...はずがない!ECの現場にいると、広告代理店やベンダーさんからの提案をたくさんいただきます。
レコメンドツール、解析ツール、レポートツール、MA、CDPなどなどの「改善ツール」。導入したらこれが見える、それが楽になる、あそこも導入している...一見”夢が広がる”気持ちになりますが、少し立ち止まって、考えてみましょう。

私の失敗例。

10年くらい前、「レコメンドツール」を導入したことがありました。EC掲載の商品点数がそれほど多いわけではなく、採用すべきか悩みどころでした。ツール設定すれば、サイト内の導線が広がり、売り上げが増える、という提案の言葉に魅せられ、「入れてみっか」くらいの軽いノリで...
当然ながら、ツール導入=改善されるわけはなく、導入後のベンダー、代理店側の追加のアドバイスもなく、「導入したけど、稼働せず」状態。やろうやろうと思いながら時は経過し、初期費用、月額費用だけ発生して、成果は生み出さず、という「最悪の結果」に。

改めて思いました。

考えてみれば「あたりまえ」なんですが、「課題」があって、その解決策のひとつがツール導入である、という流れでないと、うまくいくはずがありません。「ツールを入れれば」というのが最初に来てしまった、典型的な失敗例です。
「かご落ちを5%改善したい」「商品Aに興味のあるお客様に商品Bもお勧めしたい。できればセットでご購入いただきたい」「色違いやサイズ違い、上位版や廉価版も用意していることをお知らせしたい」などなど、「課題」までいかないまでも、「ここを変えることができれば事業全体が変わるかも」というところからスタートしないと、いけませんよね。

「解析」「分析」という名の”魔法”

独自ドメインでECなどを実施している場合、多くが「Googleアナリティクス」を導入していると思います。いわゆる「アクセス解析」ツールです。毎日のPVやセッション、離脱率だったり、滞在時間だったり、いろいろとサイトを診断する指標を見ることができます。
もちろん、これらの「成績」を把握することは大切です。「昨日のアクセス数は?」を想起することは”マーケッター”の第一歩であることは間違いありません。
ただ、Googleアナリティクスは、「課題」を教えてくれるツールではありません。毎日毎日、PVを見ていても、セッションを記録していても、それだけでは何も見えてこないんです。「PVを見ている。離脱率がどれくらいか知っている」ことは、もちろん”分析”ではないのですが、「ツールをいじっている」ことが”分析している”という意識になってしまう、そんなことがあります。

「本質」を意識しましょう

例えば、「サイト内のバナー・誘導枠を変更した」「昨日お金をかけて集客策を実施した」など、能動的に変化を起こす行動をしたときに、目論見通りに変化が起こったのか、想定よりも多く変化が起こったのか。そのような視点でツールを見ていきましょう。施策前と施策後の「変化」に注目します。Googleアナリティクスのレポートに表示される「セッション数=100」という数字が持つ意味が変わってくるはずです。

見るべきは、サイトだけではなく、

アクセス解析ツールで見るべきは、ECサイトのページや、流入元だけではありません。それらと同等もしくはより重要なのが、「ユーザー」です。ユーザー、という言葉だと少しよそよそしく、統計数字的に感じられてしまいますが、それは、ECサイトというお店に来店された「お客様」なのです。

購入などアクションに結び付かなかったら、お店の、棚の配置やレイアウト、店内のディスプレイやPOP、または、接客やレジでの所要時間などに課題があったのかもしれません。

「接客」の中で課題を見出すのはとても重要なことで、それを考えるには「お客様」軸で見ていくべきです。Googleアナリティクスでいうところの「ユーザー」です。

どんなお客様が、いつ、来店するのか、お客様はどの商品・棚に行くのか。昼来店する女性はサラダを、夜来店する男性は雑誌とお弁当を、深夜来店する若い人はビールを、という傾向をつかむ、つかんだらそれに応じた導線を作る。オンラインではできちゃう話です。

このようにして、改善点を見つけていきましょう。


言葉に踊らされない

分析、解析、というと少々「かっこいい」響きがありますが、八百屋さんが魚屋さんが、お客さんを「見る」ことで、お客さんと「話す」ことで、おすすめするものを決めていく、そのプロセスを可視化しているにすぎません。その考えを持てば、見るべき点、変えていく点はわかってきます。
アクセス解析ツールでは、数字がたくさん並んでいて、いろいろと「見えちゃう」のですが、目的にそって考えていくにあたって、「必要のない数字」も実はたくさんあります。必要なもの、(今は)不要なもの、それらを見極めることも大切です。


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