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デジタルマーケティングの考え方は、「偏らせる」こと。

想いもしなかった社会情勢の変化も相まって、「デジタル」が語られる機会がとても増えています。もはや「デジタル万能説=導入すれば全てハッピー」を唱える人、妄信する人は少ないとは思いますが、それでも、「過大評価」あるいは「誤解」はまだまだ存在するようです。デジタルを活用した「集客」の領域で、このことを考えてみました。


デジタル情報の、得意なところ&苦手なところ

マスメディアによる情報と比較して考えてみると、デジタルでは「ターゲティング」という優位性があります。「誰に」情報を送るか、その方の属性と環境を”ある程度”絞り込みができます。化粧品通販会社は、デジタル利用で「東海地方に住む、30代の女性」だけに情報(広告)を発信することができます。テレビや新聞は、地域は可能ですが、それ以外の絞り込みは困難です。
一方、お金をかけて広告を出稿し、「広告を出しているインパクト」を求める場合は、テレビとデジタルの差は歴然です。SNSでじわじわ拡散、ということもあり得ますが、「瞬間最大風速」的な爆発力を産みだすことはデジタルは苦手です。この分野は、おそらく将来的にもテレビの優位は揺るぎません。
テレビCMはなんとなく覚えている(印象的な)ものはありますが、Yahoo!に載っていたバナー広告、覚えている人は少ないでしょう。

この「得手不得手」がわかると、デジタルマーケティングの考え方が整理されます。

デジタルでは、あまねく、ではなくて

オンラインメディアに広告出稿を考えています。ここで広告主(企業)側が考えるべきは、
「そのメディアに来る・いる全員に受けいれていただく広告」
ではありません。デジタルに「苦手な分野」を充てるのはけして賢明ではないのです。

テレビなど受動的なメディアと異なり、インターネットに来る・いる人はなんらかの「見たいもの」を持っています。そして、その「見たいもの」以外の情報は、「見る」ことはないはずです。画面の中で一気に情報を与えられる中で、「見たいもの」に限定することは当然の対応です。ぜんぶ取り込む、なんてできません。

そんな中で、広告主側は、全員ではなく
「特定の人に限って、その人たちにだけ届くメッセージ・広告」
を考えていきます。

それでいい、その方がよい理由をお伝えします。

「偏らせる」ことによって、

さまざまな環境、さまざまな「見たいもの」を持つ人が見に来ている状態で、「全ての人に当てはまるようなメッセージ」を作ることは、相当ハードルが高いですし、仮に作ったとしても、
  中間的な、強弱があまりないフラットな訴求
になってしまいます。そうすると、結果として
  誰にも届かないメッセージ
になってしまうことも少なくない。「数打てば...」という考え方は、「見たいもの以外興味なし」という前提から言うと、成り立たないのです。
逆に振り切って、
「ある人には受け入れてもらえるけれど、また別の人には見向きもされない」
というメッセージであれば、受け入れてくれる人は、いるんです、全員ではないけれど。デジタルの得意分野を、「偏らせる」ことで活用します。

では、「誰」に絞るか、どこに「偏らせる」か。

メッセージを届けるときのは、

その企業・広告主が「おきゃくさまになってほしい」と思っている、いわゆる「ターゲット」です。それ以外は「見ない」くらい偏ってもいい。
例えば、将来的に「プレミアムな上位商品を購入いただける」おきゃくさまとコミュニケーションをとりたいのならば、メッセージも尖ってきます。「安い!今だけ!オトク!」という訴求ではなくなるはずです。
言葉の誤解を招くといけないのですが、企業側が
「おきゃくさまを選ぶ」
という考え方。企業によって、年代や性別、居住地域など、「知ってほしい、買ってほしい、好きになってほしい」おきゃくさまは、いるはずです。

「誰に」を優先して考えることで、他にもよいことが

広告で表現するメッセージが「万人向け」であると、この「なってほしい」方にとっての”ミスマッチ”が生じてしまう危険性も生じます。せっかく近くに来ていただいたおきゃくさまに「ワタクシゴトではない」と思われてしまっては本末転倒。そのおきゃくさまの「見たいもの」から除外されてしまうのは避けたいケースです。
企業にとって、広告担当者にとって、「数・絶対数」も必要な場面はありますが、その刹那だけではなく、将来的なおつきあい、コミュニケーションという点で考えれば、「選ぶ」ことも必要になります。

また、尖ったメッセージを考えていけば、そのセンスやつくるためのテクニックも上がっていくことが考えられます。広くあまねく、という”フンワリ”ではなく、「誰に」を最初に明確に持って考えると、強いメッセージが作れるようになります。


最後にもう一度繰り返しますが、デジタルは万能ではありません。魔法でもありません。あくまでツールです。デジタルではないツールも含めて、それぞれの「得意なところ」でMAX利用する、これがセオリーです。

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