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「マーケティング部門」ちょこっと組織論、マニアックかマニュアルか

企業のデジタルマーケティング部署については、各社各様の考え方があります。DXやECに特化した部署もあるでしょう。「広告」「広報」の部署に中に、デジタルか否か問わずひとつに集約していることもあるでしょう。
また、デジタルマーケティング担当者として、デジタルに寄っているのか、マーケティングの手法のひとつとして捉えているのか、これもわかれるところかと思います。

組織全体、というよりは「組織内の担当者」のあるべきカタチについて考えてみたいと思います。


「デジタルの専門家」=属人的

デジタルマーケティングを「特別」と捉えれば、「専門家」を置く・育てることになります。確かに、オフライン施策とは異なり、その手法という点では「専門的」ではあります。相対する外部のパートナー(メディア・媒体や広告代理店、ツールベンダーなど)も、デジタル”固有”のものが多く、「デジタル」がわかっているほうがもちろんベター。
この考えでいけば、中途半端にわかっている、ではなく、「マニアックなレベル」でわかっている担当者がいたほうがよいことが多いです。つまり「専門家」。
この件はこの人に聴けば解決できる、という体制が望ましいですが、一方で、その「マニアック」な担当者以外は、デジタル面での成長が滞る可能性もあります。専門家とそうでない人の差が開く一方に。仮にその担当者が異動や退職してしまった場合、なんらかの事由で不在になった場合に、すべてが滞る危険も孕んでいます。

「誰でもできる状態」=標準的

そんな「属人のリスク」を回避するには、その部署の全員ができる状態「標準化」が求められるでしょう。一定レベルの知識を持ち、一定レベルの知見を共有する体制を作ります。これならば、仮にひとり離脱しても、組織としては乗り越えていけます。
こちらの場合に考えられるのは、「横並び」の組織だと、全体の底上げ・成長がやや困難になること。「みんなで進める」ことが「誰も先に行かない」に繋がってしまうと、成長が鈍化してしまう可能性もあります。また標準化するには「マニュアル」が必要になると思いますが、マニュアル通りにできる人が増えても、必要な場面でアクセルを踏める人がいないと、外の世界の変化に対応できなくなることもあります。

「マニアック」と「マニュアル」

デジタルマーケティングの世界は、意外に「泥臭い・コツコツ型」がとても重要な要素になります。デジタル=スマート=機械化=自動的、という図式は、誤りではありませんが、
自動化を実現して継続して成果が出続けるためには、事前想定、初期設定、見直し、機能追加、変化に応じた再調整など、「ヒトの目によるチェックポイント」がたくさんあります。
この対応ができるひとは「マニアック」なタイプのほうがよさそうです。「マニュアル」タイプだと、何か起きてから対応、という順になりがち。

どちらがいいんだろう...?

極めて個人的な感覚で話をします(つまり一般的な「正解」ではありません)。ずばり「マニアック」な「属人的」な方が成功確率は高そうです。理由をいくつかあげてみます。


1.マニュアルはあったほうがいいのですが、これの対象は「作業分野」が主    です。マーケティングで”飛び出す”(他社よりも、あるいは過去よりも)ために必要なのは「感性」です。これはマニュアル化できない。その時の環境もあるし、経験値が活きることも多い。
2.成功する「マニアック」タイプの方は、ワイン好き、に似ています。産地やビンテージにやたら詳しくて、聞いてもないのに教えてくれる、あの「ワイン好き」です。マニアックなマーケターも専門用語を口に出して話をすることが少なくない。専門的すぎるのはけしてよくないのですが、「口に出して」という点が大事で、発信しているヒトのところには情報が入ってくるのです。インプットとアウトプットの好循環が生まれます。
3.実際にそういう人が多いです。企業名ではなくて、ヒトとして魅力があり、その話に刺激をいただけるヒトは、かなりの確率で「マニアック」です。「こんな有名な方なのに、ご自身でそこまでやってるんだ...」と思うこともしばしば。どんな立場になっても現場で「マニアック」に動いておられるからこそ、その事業もアクティブであり続けているのです。、その事業もアクティブであり続けているのです。


正解はない。ないけれども、

特に「デジタルマーケティング」領域は、新しいテクノロジーが次々にでてきて、今ある「パターン」がいつ新しいものに置き換われてしまうかもわからない、そんな世界。未来永劫続くパターンはない世界。だからこそ、過去実施してきた手法を標準化するよりも、経験値にウラウチされた「勘所」で勝負できる体制(マニアックな担当者が主導する)の方が、
突破力もあるし、魅力的に映ります。そんな魅力的な「マニアック」担当者がいて、それを魅力的だと感じるフォロワーがチームに生まれれば、課題だった「感性の引継ぎ」ができるかもしれない...と「属人的に」思っています。


ちっとも「デジタル」ではない結論になってしまいました...
あと、「ワイン好き」の方、否定していませんよ。大好きです。

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