見出し画像

マーケターの「視点」。これを持っていたら強い!

たいしたレベルでもない私が、ECの世界に15年以上いることができた理由をひとつ上げるとすれば、「目」「視点」の持ち方かなあ、って思います。テクノロジーやシステム、デザインのセンスはそれほど高くはないのですが、これを持っていたから(なんとか)続けられた、という点をお伝えしていきます。


考え方の起点はどこにありますか

EC事業に限らず、商いであれば必ず「おきゃくさま=買い手」が存在します。その商品を選ぶ、お金を払う、というのは、「事業者側=売り手」ではなく買い手が決めることです。当たり前なんですが、これを見失うケースは少なくないように思います。施策やサイト設計・動線を考えるときには、「どう動いてほしいのか」ではなく「こう動くのでこう設計する」という順番で考えるほうが正しい(もちろんある程度の「意図的な」「戦略的な」目論見は必要)。
では、売り手としての自分は、どうやって買い手の動きを「想像」したらよいのでしょう。


事業者だって消費者だ

どちらが先か、というのはもはやわからないんですが、EC業界に入りたてのころから、意識的に「ECを使う」ようにしました。あ、買い手側として、です。楽天市場中心ですが、定期的に”ネットでお買い物”をするようになりました(いまやダイヤモンド会員です)。それぞれのEC店舗さんが、ほんとに一所懸命「商い」をされています。
買い手として、その商品を便利に適切な価格で買う、というのが目的ですが、商品を「探す・選ぶ・買う・届く・使う・次を考える」という過程の中で、売り手として「刺激」になることがたくさん見つけられます。
・こういうセールスポイント、ドンピシャだ
・今ならポイントが付くから買いやすいなあ
・メールに書いてあるこの言葉、いいなあ
・梱包開いたらサプライズでオマケ入ってた
・クーポンもらったんでもうひとつ買おうかなあ
けして「調査」ではないのですが、買い手として感動した(ほんの小さなことでも)という点はたくさん出会うのです。これをちょっとだけ発想を展開して「自分たちでもこれやってみよう」「これは要らないかもなあ」という、考え方のヒント、にすることができます。


ココロが動いたことをメモメモ

あくまでイチ消費者として、「お、これ面白いな」と思ったことは、なんらかのカタチで残しておきましょう。メモしておきましょう。大事なポイントは、
「マーケター目線ではなく消費者として」心が動いたこと、
です。「あ、これはターゲティング配信を設定しているな」とか「オファーが先月から変わったな」といった、マーケター目線は不要、捨てましょう。
私たちEC事業者は、おきゃくさまに「ココロが動く」メッセージを送ることが肝要です。ですので、「おきゃくさま」としてどう感じたか、という視点が必要です。
調査目的=オフィシャルではなく、純粋な購入目的=プライベートで接したときにどう感じるか。この立ち位置の違い、極めて重要で、後者(買い手立場として)の方が、圧倒的に、自分たちの事業のこれから、に役立ちます、ホントです。


「切り替え」のコツ

仕事としてのマーケティングを突き詰めながら、消費者目線を持つ。このことは意識しないと難しいかもしれません。理想形は「マーケターとしての高精度アンテナを立てながら、消費者として行動する」ということであるので、なおさら難しい。
これかできるようになるのは「場数」しかないんですが、いくつかヒントをあげると、
・事業(仕事)と無関係な商品、サービスを利用する
・欲しいものを数日我慢してから買う
という感じでしょうか。意識的に「プライベート」に寄せる、という意味合いです。同様の商品だと、仕事としてのマーケティングに真剣なほど、切り替えが難しいかもしれません。
もうひとつのヒントです。
・マーケティング用語に染まらない
逆のアプローチで、普段の仕事現場の時点で「消費者であること」を意識する、という意味合いです。KPIとかPDCAとか、通常の消費行動では使わないことは、仕事上でも(意識して)使わない、言い換える、ということをしていると、目線、視点が変わってきます。


書籍や記事、第一人者のお話だけがマーケティングレベルを上げることではありません。まずは「消費者、買い手としての自分」が、いいと思う、おもしろそう、欲しい、買いたい、とった感情を表すことを意識することも、マーケティングに活かせるヒントになります。誰もが買い手であるはずなので、なんの準備もなく、すぐにできること。ちょっとだけ意識してみると、何かが変わるかもしれません。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?