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ECから「売らないお店」を考える

今年に入ってから、店舗ビジネスに向けられる目はガラッと変わりました。
人が外出しない、集まることにリスクがある、という未曾有の事態を経て
ビジネスモデルのあり方が問われたことは疑う余地もないとは思います。

私自身は無店舗で、自社商品(豚肉/加工品)のオンライン販売を続けてきました。

つまり、店舗ビジネスについては素人です。

小さなサイクルを回すためにオンラインストアからはじめ、
いつかは
・販売店舗
・飲食店
などなど、リアルの場が欲しいなと考えていました。
やはり固定費面や人員コストを考えると中々手を出せずにいましたが
間違いなく店舗の需要は在り続けるでしょうし、私自身店舗への展望や思いは変わりません。

しかし、今こそオンラインとの融合の在り方を施工するタイミングでもあるでしょう。
EC×リアルについては様々な議論がなされていますが
この時代を経て、どんな形があるかを考えてみました。

机上の空論かもしれませんが一つの仮説、本気の妄想として捉えてください。
私の案は「売らない店舗(スタンド)」です。

オンラインの限界

オンラインでの店舗が売れるには、認知と明確な目的があることが必須でしょう。

①オフライン(店舗)があり、すでに認知を獲得している
②広告費を使い、認知を獲得している
③SNSでのアピールで顧客層を持っている

このいずれかが主だと思います。
私は店舗も、広告出稿するほどの予算もなかったため、
現在3点目のSNSを中心とした販促を行っていますが

そもそもSNSのなかにいる人、そしてネットで物を買い、そこで完結する
という人のパイは非常に小さいのが現実です。

この点で成長を考えるには、私は店舗でのリアルへの露出を通した自然認知を得ることが先の一手かなと考えています。

露出することを目的とした上では出店する場所は休日に人が集まる繁華街をイメージしています(安易かもしれませんが)

なぜ「売らない」のか

この構想では店舗の出店を広告費として捉えるかたちです。
例えば、私は精肉や加工品、革製品などを販売することを土台に試食ができたり、実際に触って確かめたり。そんな場所を想像しています。

それなら売ればいいのに、なぜ売らないか。

第一に私自身は、店舗や対面販売において何よりの価値は「実感」と「確信」にあると考えています。

実物に実際に触れ、その使用感、素材感、便益を実感し、自身の生活に組み込むイメージをよりリアルに感じること、確信を持って購買できること。
これはオンライン販売にはない大きな価値です。

そこで一つの提案として、決済をオンラインストアに移すことを売らないお店の主旨に挙げます。

ただ一方で、購入の際に支払うタイミングでその価格や自身の支払う紙幣(金額)への認知もリアルに実感してしまうのでしょう。

私は店舗で物を買うのも、ネットで購買する事もどちらも良さがあり、双方利用していますが
間違いなく、出先における現金決済や対面での購入に比べるとオンライン決済の方が財布の紐は緩んでしまうなぁと感じています。

主観ですが、オンライン決済→カード決済→現金決済
という順で購買時の金額的障壁は高くなっていると感じます。

これについて少し調べてみるとこんなレポートがありました。

いわゆる金銭感覚は、現金かそうでないかによって異なると思います。現金であれば、財布からお札が減っていくときや、銀行でお金を引き出すとき、視覚をはじめとした五感で「お金が減っている」ことを認知できます。

また、買い物の際に、小銭を探したりお札の枚数を数えたり、支払うにあたっての作業工程が多くなるため、その行為が“フィルター”になって「本当に必要なものなのか」「また今度にしておこうかな」など、思いとどまったり葛藤する時間も生まれやすくなります。

しかし、キャッシュレス決済では、すぐに支払いができるというメリットがある反面、買うことに対してのストッパーが弱く、購入までの時間が短くなり、商品を購入するハードルも下がりやすいと考えられます。
(上記記事より抜粋)

話題としては少々下世話に聞こえる面もあるかと思いますが
こういった部分について触れてみると、なるほどな、、と。

そうなるといざ買おうかな、というタイミングで「やっぱいいか、、」の懸念が非常に強いのです。

購買単価をあげる意味でも、金銭取り扱いによるリスクの軽減においても
オンラインへの決済移行は非常に意味があると感じます。

それ相応の店舗での体験価値提供を考えると非常にコストがかかるであろうという想定としては
この心理的障壁を取り払う、つまり金銭のやりとりを排除するという思考に至りました。

二つ目に、購入者側の負担を取り払うことを挙げます。

やはり、店舗購入の良さはその日のうちに持って帰れること、ではあるのですが裏を返せば「持って帰らねばならない」のです。
特に我々の製品に関しては冷蔵、冷凍品も多い為
立ち寄って買う。というのはハードルが高いと考えました。

家に置くにはもっとあっていいんだけど、持って帰ることを考えると
このくらいにしておこうという経験は皆あると思います。

認知を得る目的に向けては繁華街に出店したい
でも商材としては住宅地でないと成り立たない
他商材においても持ち帰ることの負担は大きいと考えています。

こうした矛盾を解消する点で購入→配送の流れは保持することを考えます。

加えていうなら、「並ぶ」という負担も取り除くことができるでしょう。
店舗ビジネスとなるとバンドワゴン効果も含め、行列があること自体の良さもあるとは思いますが
並ぶこと自体の消費者側の負担は大きいと感じています。
機会損失を減らせるという点でも便益につながるかと捉えました。

売らないことで生まれる利点

在庫を置く必要がない
店舗で販売しないことのメリットは、在庫やその他包材などをその場に置く必要がないという点です。
比較的省スペースでの展開が可能になることで固定費を抑えられるのでは、と考えました。
そして、即時に用意する必要がないので、場合によっては注文を受けて用意する、という形で在庫をもたない販売も可能性があるでしょう。

又、在庫を別所で保管、管理できるという点に魅力を感じます。
(私自身、茨城から発送しているので)
複数出店するとしても、発送元は1箇所で済むので比較的システムが楽なのでは、と。

人員の縮小
本来店舗での販売などを進めていくと必ずそこに人員は必要になりますが
基本的に販売をせず、ポップアップのスペースと捉えると
何人も配置する必要はなくなるという点では
店舗の固定費の一つとなる人件費の膨らみも抑えられるのではないか、と考えました。

懸念点/来店の旨味を作るには

やはり、この問題は送料がかかる点が解消されないことです。

全てオンライン決済に切り替えても配送があるかぎり送料はかかります。
そうなると、普段買っている人は態々来店する理由はないでしょう。

ここに対して、店舗としての対応策や店舗ならではの施策として例をあげるなら

・注文後一週間以内で購入画面を見せたら特典をわたす。
現物を提供するもよし、クーポン配布などで来店のロイヤリティをあげる

・店舗限定のコンテンツを用意する
さすがに何も買えない、というのには抵抗があるのであれば
自社製品を使った簡単な軽食販売も良いかもしれません。(ここだけは決済が発生する仮定で)
そこで味を知ってもらう、良さに気づいてもらうことが目的なのでこういった施策を考えました。
先述の「注文後一週間以内で購入画面を見せたら」をここにも当てはめて100円引きにするなど。

「店舗ならでは」を最大限に生かす取り組みが重要だと考えています。

そして、もう一つは
見て、触ったあと期待値を保つことができるのか、という点でしょう。

ここに関しては、その場で購入すると。。など販売にできるだけ余白ができないような施策やSNS(LINEの登録やフォロー)で繋がり、その先のアプローチにつなげるような形を考えるのも一つの方法と考えます。

その他店舗の活用

予約で来店受け取りを可能にする
オンライン購入時に来店予約→受け取り
送料分の商品がおまけでついてくるなどの特典を用意してみるのは良いかもしれません。

ただこれの場合、生鮮食品などの日持ちが効かないものの場合は特にですが
用意したのにこられないなどのトラブル発生や対処のコストが想定できるため一考の余地があるでしょう

棚貸しをする
自身が販売するものと親和性が高い他社商品をおいて、そのポップアップに生かしてもらうのも良いかなと考えました。

これも販売する形ではなく、他社ECの紹介、または他社商品を自社EC内で取り扱うなどにとどめるという考えです。

事例

友人から教えていただいたのですが
現在、この構想に少し近い取り組みとして
GU(衣料品店)の「試着だけできる」店舗があります。
この記事は1年半ほど前のものですが、非常に前衛的だなと感じました。


以上、これからのリアルでの施策を打つにあたっての店舗のあり方
について書いてみました。

今後の店舗販売のビジネスがこうしてオンライン化していく流れは今後大いにありうるのではないかと私は考えています。

ポジションが絡んだ考え方だったり
些か理想的に写った面もあるかもしれませんが、、
ご感想などお伺いできたら幸いです。

普段はTwitterで発信しているのでよかったら覗いてみてくださいね。

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