マガジンのカバー画像

詩日記

735
日記的詩
運営しているクリエイター

#夏

夏らしさ

夏らしさ

海の家で食べるあまつブルーハワイ、蝉の鳴き声をBGMに追われる宿題、前に立つ人の頭で見切れる打ち上げ花火、帰省土産に迷うも買わずに乗り込む新幹線、夕陽を自慢のカメラに収めようと必死なおじさんの背中、大学生風の男女の集いが占領する歩道の脇を抜ける帰り道、夏。

蝉

なく、泣く、鳴く、とにかくなく、ひたすらになく、死ぬまでなく。うるさい、うるさい、うるさい、と言われてもなく。なきつづける。この世界にいることを示し、この世界にいたことを遺し、この世界を生き切る。一心不乱に、無我夢中に、一生懸命に、なく。明日が来るかわからない短い命を今日生きる。

夜風

夜風

日中は容赦ない猛暑
いつのまにか落ちた太陽
涼みを連れてくる夜風

汗だくで湿った身体
総武線の電車を待つ駅
汗をさっと拭う夜風

駅を抜けて家までの帰路
歩幅短くダラダラした足取
疲れを癒すよう吹く夜風