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延藤 直也
2023年7月31日 09:39
喜びはあなたと分け合いたいのにわたしひとりで喜び満たされてる悲しみはわたしひとりのものなのにあなたはいっしょに背負ってくれる喜びにも悲しみにも昇華しなかった日常の破片がわたしとあなたを繋ぐ細い糸を引き裂く
2023年7月30日 08:57
今日あった出来事と今日言われたひと言と今日悩んだ未来のことが身体の内側から汗となって滲み出て皮膚に纏わりつく俯いて歩く夜の帰路ふっと風が吹いて数粒の汗が飛ばされる歩けば汗が滲み出て風が吹けば汗が飛ぶ繰り返し繰り返す
2023年7月29日 07:03
木陰にあるバス停のベンチに座る秋へ行くバスの発車時刻を時刻表で探す時間はたっぷりあるので気長に待つことにする冷たいアイス片手にヘッセの詩集でも読みながら
2023年7月28日 08:48
木のまな板を敷いてきゅうりを千切りにしてトマトをざく切りにする卵を二個割って菜箸で溶き混ぜる鉄のフライパンに薄く油を敷いて卵を流し込む表と裏と適度に焼いて細切りにする醤油酢みりんを鍋に入れて火にかけて沸いたら砂糖水サラダ油ごま油レモン果汁を入れて混ぜ合わせる鍋に水を注いで火にかけてその間にまな板とフライパンを洗って沸騰したら中華麺を2分茹でて氷水で冷や
2023年7月27日 08:50
地を見下ろしても石が転がっているだけ空を見上げても星が散らばっているだけそれだけなのに石も星も生き生きと輝く私だって生きているだけで輝いていたい
2023年7月26日 06:49
わたしはだれ?朝、洗面台の鏡に映る歯磨きをするわたし夜、ベランダの窓に映るハイボールを呑むわたし夏、アスファルトに映る夕陽に照らされるわたし冬、テレビ画面に映る毛布に包まるわたしわたしは、だれ。
2023年7月25日 09:03
過去のことは全て今の今までの全て忘れてしまいたい忘れたい事も忘れたくない事も忘れてしまいたい良い事も悪い事も忘れてしまった事さえも忘れてしまいたい忘れてしまってからまた今日を始めたい
2023年7月24日 08:38
いつの日からか風が吹き波が荒れ浜が汚れ魚が消え水が濁る荒んだ海ある日の朝風が止み波が泊り浜が光り魚が現れ水が澄む閑かな海いつもと何ひとつ変わったことはない海岸にあなたが立っていたこと以外は
2023年7月23日 07:51
これしかない、という希望とこれしかない、という絶望とともに歩き、ともに倒れ、ともに眠る
2023年7月22日 08:23
暑くて暑くて堪らず新宿の伊勢丹に駆け込み、エレベーター横に置いてあるベンチに座る。こういう人間のために置かれた自動販売機のコーラを横目にバッグの中で温くなった水筒の水をごくりと飲む。ひと息ついてから、エスカレーターで上がったり、階段で降りたり、あるいはエレベーターで屋上まで上がったり、誰にも縛られず方々を彷徨く。ここを出てから家に着くまでの間に感じるだろう暑さを紛らわせられるだけの涼を身体の中に溜
2023年7月21日 09:37
湧いたやる気は汗とともに流れ、咲いた好奇心は陽に焼けて枯れ、描いた未来図は燃えて灰となる。夏のはじまりは気怠く重苦しい。
2023年7月20日 08:22
下見ないと石に躓くし、上見ないと涙が溢れる。上見ないと夜に溺れるし、下見ないと朝に呑まれる。下見ないと影に殴られるし、上見ないと光に逃げられる。上見ないと生きられないし、下見ないと生きられない。
2023年7月19日 08:55
点と点を繋げて線を描く。線は消しゴムで消され、線はハサミで切られ、線は鉛筆で塗り潰され、また点と点になる。点と点を繋げて線を描く。線を開いて線を伸して、線を引いて線を広げて、線と線を繋げて線を描く。
2023年7月18日 09:06
冷房を効かせた涼しい六畳一間の部屋寝汗で少し湿った青い夏用シーツの上小さく狭く暗く静かな海をひとり泳ぎ息苦しくない水中を永遠に潜り続ける