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孫育て体験記~これからの高齢化社会に向けて

昨年10月半ばから平日、孫のケアギバーと家事をしていた。
自分の子ども2人を育てた経験があるので、3人目の子育て経験である。

この5月に入って、息子家族が引っ越しして、孫は、保育園へ。
私のベビーシッター役割は6カ月(-1か月:途中で息子が一か月育休)でとりあえず一段落した。

この間、私にとって、孫が先生で、息子夫婦も先生で、
ものすごく勉強になった。

 法人を立ち上げたばかりだったのだけれど、
 目の前の一番小さな存在を大切にする自分でありたいと思った。
 法人のみんなに迷惑をかけてしまったけれど、
 だからこそ、ここで学んだことをこれからの活動に活かしていきたい。

学んだことは、
 あらためて、赤ちゃんの発達。
 いまどきの子育てのありかた。
 支援のひろばの現状。
 自分の子育ての振り返りと若い世代の認識の確認。
 祖父母が孫育てに関わるときの留意点。

赤ちゃんの精神分析のメッカ、
愛着理論のボウルビーが1946年に設立したイギリスのタビストッククリニックのトレーニングコースでは、
定期的に赤ちゃん観察をして、赤ちゃん理解のトレーニングをする。
それを自分の家で毎日させてもらってきたわけだ。
(日常になると、客観的になることは難しい。
 研究者とケアギバーは両立が困難で、できることは限定される。
 発達心理学研究者が自分の子どもで研究を進めることができるのは、
 パートナーなどの存在あってこそなのだろうと思う)
(丁寧な記録は取れていない。それは自分の特質から無理だろうと思う。
 細かすぎて、おおざっぱすぎる笑)


赤ちゃんは、とてもよく脳を使っている。
それを隠さないから、
ああ、今、こんなふうに脳を使っているのか、
こんな感情が出てきているのか、というのが、
見ていてすごくよくわかる。
それが、身体発達や心の発達と一緒に進んでいくのもよくわかった。

学びの種のような存在だった。

それは今後の活動に活かしていくとして……



ケアギバーしていてびっくりしたのは、
祖父母が孫育てすることは今の東京では「珍しい」ということ。
しかも、男親の母親が孫の面倒を見ていると知ると
「よく引き受けましたね」
「それはよくぞ(義理の娘さんが引き渡しましたね)」というコメントを下さる方が多かったこと。

こんなところにまだジェンダーの問題が残っていたと改めて認識したし、
今の祖父母世代は、子育てはこりごり、自分には無理と思っているらしいし
父母世代は、祖父母、特に舅姑に子育てして欲しくないらしい。

 多くの人が、子育て経験1-2人だけで人生を終えるために、
 子育てが伝承できるほどの経験と自信を祖父母ももう持っていない。
 今どきの祖父母世代は、自分の人生を優先したいと思っている。
 孫育てから学べることがこんなにあると気がついていない。
  ということのようだ。
 兄弟姉妹が多かったり、地域の子育てが成立していれば、
 自分の子どもを育てていなくても経験値は上がるはずなのだけれど。

むしろ、
「ベビーシッターさんですか(似てないってこと?!)」とか、
「お子さんですか(白髪なのに!まさか高齢出産か(笑))」
と言われることもあった。

つまり、現代日本では、
子どもは、基本的に親が育てるものであって、
そうでなければ(保育園を含む)雇用した人が育てる
というのが常識になっているということ。

これは必ずしも歴史的にいつもそうであったわけではない。

祖父母や兄弟や子守り、
さらに里子や乳母、共同養育といったシステムなど、
さまざまな形で、子どもはいろいろな人たちに育てられた。

今回、私の場合は、
  ・たまたま(計画的ではなく)早期退職をしていた。
  ・たまたまコロナが始まってからyoutube で筋トレしていて、
   大学勤務中に落ちていた体力を取り戻していた。
  ・赤ちゃんを育てることに専門家としての関心があった。

から、息子のパートナー
(嫁、以外のいい呼び方がみつからないのは困る。
 日本の嫁の概念にまったくあてはまらない関係性なので)
に、「シンガポールの中華系の家庭では祖父母が孫の世話をします」
と言われて、
そうなのね、それでは、せっかく日本に来てくれるのに引き受けないわけにはいかない、よっしゃ、
と引き受けた次第。

私自身は使ったことがないけれど、こんなものもあるらしいから、それなりのニーズはあるらしい。

これまでに赤ちゃんについて学んできたこと、経験してきたことは、
いつの間にか身についていて、孫育てにとても役に立ったし、
私の周りには、子育てのプロがゴロゴロいて、いざというときには聞くことができる安心感があって、感謝しかなかった。

特に、地元練馬の豊かな子育て環境づくりに取り組んでいる友人、
中川奈緒美 さんのNPO法人プレイタンクの活動のありがたさが身に染みた。

スタッフがとてもよくトレーニングされている。
(その一翼を担ったこともあるのだけれど、それはそれ、利用者としての感想は別)

一方で、自分の子育てのときは、
・働いていて地域と隔絶した生活をせざるを得なかった自分、

  これは日本のかつての子育てと同じ・・
  つまり親は田畑で労働し、祖父母が赤子の世話をする、という状態。
  ただ違うのは同居していれば地域と隔絶しないけれど、
  核家族、単親だと地域に貢献が難しいということ。

・地域での子育て支援に貢献できなかった自分、

がいて、
その結果として、自分自身の地域での孫育てに少々苦心することになったことは悔しくて残念だった。

0歳の赤ちゃんを外に連れ出して遊ばせたのだけれど、外で遊ばせている親はほとんどいなかったのだ。どうやら、外遊びは歩けるようになってから。日焼けや低温が危険で出せない。など、いろいろな理由があるようだ。
(北欧で、できるだけ冬でも冷たい外気に触れさせよう、呼吸器を鍛えて健康にしよう、としているのとは、違う世界)

また、つながりのあるZEROキッズの佐々木香さんたちが立ち上げたこちらは家から近く、立ち上げ当時にほんの少しだけ関わらせていただいたけれど、
そのときは多忙で身動き取れずに、結局ほとんどお役に立てなかった子育てひろば。
もっとあのときに関われていれば…と思ったけれど、後悔先に立たず。
孫ができてからは、子連れOKなレストランとセットで何かとお世話になった。

そんなわけで、4月でケアギバーはいったん終了。
とはいえ、今日もまた、家には息子家族が来ていて、
私もこれから自転車でちょくちょく行く予定があるから、
これで終わりではないのだけれど。

高齢化社会を迎えるにあたって、
保育園が足りない!と叫ぶよりも、
祖父母がケアギバーになれる条件整備ができればと私は思っている。
可能性はあるだろうか。

#子育て支援 #ケアギバー #孫 #高齢化社会 #ベビーシッター
#一般社団法人ジェイス

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