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これからの遊び場・居場所づくり

2023年6月24日、冒険遊び場づくり協会20周年記念フォーラムが開催されました。私は記念講演とフォーラムのコメンテーターを務めました。

記念講演をお引き受けした後で、私の後に続くパネラーとして、今、全国のみなさんが注目している川崎子ども夢パークの西野博之さんが登壇なさるとうかがって、冷や汗たらり。記念講演が私でいいのか?!

主催者の説明によれば、冒険遊び場づくり協会に直接の関係のない第三者として白羽の矢が立ったということでしたので、少し外側から見た冒険遊び場の現在、過去、未来を、関わってきた人もそうでない人も、みんなで考える時間を作ろうと思い、準備させていただきました。

とはいえ、子ども家庭庁の山口正行様はじめ、そうそうたる来賓の方たちを前に何を話すか迷って、当日、直前までスライド作成していました。

その内容は、

当日のスライドの一枚

文字が小さいので、ざっくり解説しますと、

20周年を機に、これまで「自分が」何をしてきたかを振り返り、
日本の価値観の上に成立してきた自分の思考のままで子どもに関わることの不作為の危険性を認識して、
社会の慣習や文化の上に行われるマルトリートメントに自分が加担している可能性と、それをやめて全ての子どもたちの社会的親として存在することの必要性を理解し、
「どうせ自分に社会は変えられない」と思わされてきたことと、
実はそうではなく、「変えられる」と気づいて、「だったらこうしてみたら」と、コミュニティに関わっていくことを決意しましょう。


という内容でした。

幸い、終了後に多くの方に「よかった」と声をかけていただけて、たくさん名刺交換をして(最後はなくなってしまってごめんなさい…あ、カバンの中に予備を100枚入れていたことを、今、思い出した…またやってしまった)、いろいろな方とお話しすることができました(お話しできなかった方、また次の機会にぜひ~)。

さて、私の専門性は、PLAY、ではないので、
話をするには壁があったのですけれど、
呼ばれる年齢と立場になったのだなあと思うと同時に、
完全な第三者として一般的、抽象的な話をするのではなく、
真ん中で遊び場づくりに関わってきた者としてでもなく、
さまざまな分野の交点としての遊びについて、
具体的にこの分野のこれからを考えるテーマを示し、
来場者のアクションを促すという、
自分にしかできない講演を心掛けたのでした。

講演の具体的内容は、いつかまたどこかでご紹介できることもあるかと思いますが、
途中で入れたワークと、最後にいくつか挙げておいたグループワーク、
その他の役に立つかなと思うグループワークを以下に挙げておきますので、自分たちの研修の機会にやってみていただいたり、一般社団法人ジェイスの理事たちにファシリテーションを依頼したりしてみてください。

1.自分の出会っている子どもたちは、今、一週間、どんな大人たちとどう出会って、どう過ごしているか。その大人たちは、子どもたちのモデルとしてどうか

2.ウェールズでは20代の3人の若者が、飲み会で話し合って、
2人は政治家に、1人は現場のプレーワーカーにと役割分担して
プレイワークを拡げていきました。
さて、日本において、プレイワーカーは、今後、社会的にどういう位置に立つことになるでしょうか。そのためにそれぞれの年代のあなたは、
これから何を学んでいく必要があるでしょうか

3.遊びの場、遊びに関わる職業は本当にたくさんあります。書き出してみましょう。その中で、プレイワーカーはどんな位置づけにあるでしょうか。遊びに関わる他の専門職と何が違うのでしょうか
(このワークは東京学芸大学の学生とやったワークです。就職を前に、いろいろな可能性を考えてもらいました)

4.有力なNPOや企業を誘致してプレーパークや大規模公園事業を立ち上げようとする地方自治体の動きが出ている今、地元の市民活動としてのプレーパーク(時間がかかる、ややこしい、難しいけれど、市民が育つ)か、自治体事業としてのプレーパーク(すぐにできる、お金がかかる、人が育たない、地元のニーズに必ずしも合致しない)か。あなたの地域の今後のために必要な冒険遊び場づくりはどんな活動ですか

5.あなたのまちにプレーパークが作れる予算がつくことになりました。
20年後を見越して、あなたのまちの子どもたちの遊び場づくりプランを立ててください。それを首長や議会に説明してください。
(例)大規模プレーパーク 都市公園プレーパーク 
   学童の敷地内プレーパーク 校庭・園庭のプレーパーク化
   派遣プレーワーカー 出張プレーパーク
   プレイリヤカー プレイカー プレイバス  
   ご近所みち遊び 畑やたんぼや空き地 一畳プレーパーク
   エディブルシティ

6.複数事業の運営(市民活動としての常設プレーパーク、自治体や企業と共同開催のプレーパーク、学童保育、子どもの居場所、乳幼児の子育て支援施設、プレーパークの中間支援、プレイワーカー研修の実施等)によってプレイパーク事業を成立させる可能性をシミュレーションしてみてください。

7.あなたのまちの子ども子育て会議の市民委員の公募はいつでしょうか。
自治体のウェブサイトをチェックし、電話して確認し、みんなの力を借りて、自薦、他薦で、応募を検討してみましょう。もし、委員になるとしたら、どのような応募論文を書きますか?なったとしたら、何をどう主張して、どう実現しますか?

8.あなたのまちでは、市民版こども子育て会議を開く予定はありますか。
どうしたら、それが可能になるか、世田谷区の事例から学んでみましょう。NPO法人せたがや子育てネット(松田妙子代表理事) https://www.facebook.com/setagayakuminban/?locale=ja_JP

9.いま、子どもへの社会的マルトリートメントを考える の無料公開動画を見て、その内容について、参加者で議論する。

10.さらに、時間内に十分にお話しできなかった、コミュニティワークについては、茨城コミュニティワークのコミュニティワーカー養成講座(茨城県の3年間の事業)の報告書(残部に限りがあります)を入手して、ぜひ連続読書会や講座を企画してください。一般社団法人ジェイスに企画依頼をしてくだされば(有料となりますが)、講師派遣も可能です。
(報告書の郵送お申し込みは、 NPO法人セカンドリーグ茨城 〒310-0022茨城県水戸市梅香2-1-39 電話 029-297-7040 メール info@2nd-league-i.com  まで)(講座等の企画お申し込みは、一班社団法人ジェイス info@jace-pom.org まで)


パネルディスカッションは、西野博之さん、幾島博子さん、塚本岳さん、関戸博樹さんと私、そして、参加者の皆さんとで、ワイワイと柔らかなやり取りの中に、本質があるというような時間になりました。
西野さんの夢パークは、いつもみんなのあこがれの場所。世界のトップを走るプレイパークとして、子どもの権利条約、条例をベースにしっかりと置きながら運営されていることが、何よりも大事なことと改めて思いました。
幾島さんの品川のおばちゃんちは、先代の渡辺美恵子さんを思い出して、ここまでの活動を展開してきた皆さんのご尽力にウルウルとしてしまいました。多くの親子の命を支えてきた場であると思います。
塚本さんの講演は、講演も含めて生きること自体を遊びにしていこうという塚本さんのあり方が、私の目指す方向を示しているように思いました。まだ現場を見に行ったことがないので、いつか機会を見つけたいと思います。

パネルディスカッションでは、私のコメントはもう不要だなと思って、席を移動して近くの方とお話しくださいと言いました。すると、来賓の皆さんまでもがさっと腰を上げて移動してくださったのです。その様子は、づくり協会(と略称します)の日ごろのフットワークや姿勢を象徴していたと思います。

この写真は、講演の最中のものですが、パネルディスカッションの中のワークはもっとみんなが移動していろいろな人と話をしたのでした。

最後の、全国各地から送られた動画の上映は、本当に素晴らしいもので、いつでも見られるようにどこかにアップしておいてほしいなあと思いました。

さて、もちろん、終了後の懇親会は盛り上がりました。
これまでの自分の活動を一所懸命にお話ししてくださる方や、振り返って何ができたのだろう、これから何ができるのだろうと不安をお話ししてくださる方、孤軍奮闘してきてこれから是非手伝ってくださいとお願いしてくださる方、お会いしたことがなかったけれどずっと気になっていてやっとお会いできた方、久しぶりにお会いできて懐かしい皆さんなどと出会うことができて、あまり体調がよくなかったのですけれど、参加が糧になりました。
また、代表の関戸博樹さん(日本プレイワーク協会でご一緒しています)の2次会最後のご挨拶の中での、代表を引き受けたときのお気持ちとこれからへの決意表明は、とても心を打つものでした。関わっている皆さんの気持ちを代弁するものでもあったでしょう。

そんな冒険遊び場づくり協会は、今後も活動を継続していくために、クラウドファンディングを実施しています。日本全国で展開するこの活動を支えていくためには、資金が必要です。よろしかったら、このサイトを開いて、活動を確認して、どうぞ支援してください。私も、外野からですが、応援しています。よろしくお願いいたします。


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