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ジェンダー・クライム  天童荒太


男性の、他殺死体が発見される。
首をひもなどで絞殺されたような感じで、裸で。

裸にするのは、身元を割り出されないためにはあることなのだろう。
だが解剖したら、直腸から、ビニールでくるまれた細い紙が出てきて
「目には目を」と書いてあったのだ。
誰の何に対する復讐なのか という話になる。

女性への性暴力事件と、訴えた女性への非難中傷
政治家周辺からの握りつぶし、元刑事の情報屋からの脅し。
青年四人による犯行だが、やめようと止めていた青年が一番悪いことにされたり、示談にして「謝るな」と言われ、むしろそこら中で悪口を言われているような気がする、と心を病みかけたり。
(被害女性の一家はもっと大変な事になっているが)

殺されたのは、止めていたのに誰も聞いてくれなかったと思っていた青年の父親だった。

本当の殺人だったら逮捕するのに
魂の殺人と言われる性加害について、警察も、男社会も
軽く見ているのではないか
殴る男に甘い見方がまだなくならないのか

そういう問題提起が根底にある。

320ページ、一気に読んでしまった。
ミステリードラマの最後の10分でどんでん返し ではないが
この小説にもちょっとそういうどんでん返しがある。

人生との対し方も、考えさせられる。

出てきた警部補があまりにも良い人だったので、読後感は悪くない。
でも現実の現場はまだまだまだ
被害女性に寄り添う事が足りないんじゃないか と思うのである。



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レイプ犯を連続殺人する話か と思って借りた面もある。

出産直後の赤ちゃんを捨てた罪で女性が捕まることはあるが
「父親」が介在しないことに言及しない男性社会をおかしいと思っている。
遺伝子情報を取って、母親からの供述に合わせて男性側にも
何らかの罰を与えるべきだと思うのである。
独りで出産なんて、心細くて痛くて、その後立ち上がって動き出すなんて
どれだけ大変な事なのか、生理痛を体験させるように体験させたい。
まず、警察や検察の関係者から。




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