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失われた町
図書館の、三崎亜記さんの書棚を撮ってみた。
これ全部読んだとは言えないのが悲しい。
この人の作品は、普通からずれた状況が少しだけあって
でもその影響は少しではない、という何か不思議な感じがする。
「廃墟建築士」や「鼓笛隊の襲来」も
良いんだけれど、
特におすすめは「失われた町」である。
30年に一度、町が消える。
人だけが消えるのである。
予感する人もいて逃げ出そうとしても逃げ出せない。
連絡もなかなかできない。
逆に、修学旅行や出張などで
あらかじめ「その日」に町にいないことがはっきりしていて
自分だけ残される人もいる。
そういう連作なのである。
表紙がとても素敵だった。
透明な表紙に人だけが印刷されていて、
その下は町という二重の表紙で。
透明な部分をはがすと
町だけが残されるのだ。
理不尽さが不気味でそれに抗えないのも不気味なのである。
空襲で消えるのとはまた違う無力感と心の傷を
残された人に与えるのである。
この表紙の、人だけがいなくなる。
名前の「亜記」この記が使われているのもいいな と思う。
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