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この夏の星を見る


「この夏」とは、2020年。
コロナの蔓延のため、修学旅行などの学校行事や、部活の大会などが次々とつぶれた夏だ。
吹奏楽部で実家が旅館だったために友達に微妙に距離を置かれた高校生
普通に公立中に入学したと思ったのに、一クラスだけの学年で男子が一人だと知り、当然できると思ったサッカーを諦める中学生
この先生がいる高校、と思って入学したので女子の多いことは気にしないという高校生。

手作りできる天体望遠鏡を作って、どの星をとらえたかを競う
「スターキャッチコンテスト」を企画、実行していくという話である。

オンラインを使いこなし、教師も学習していく。
茨城と東京と長崎(五島)という距離。
長崎がナガサキという原爆に関わる県であることについても
離れた地に住む生徒たちが知っていく。

それぞれの個性も状況も人間関係も生き生きとしていて大変面白かった。
まぶしい青春である。



行事がつぶれようが、大人が右往左往しようが
生徒にとっては一回限りの「その学年」なのである。
その中で、子ども電話相談室の回答者になるような、
自分の好きな研究活動もあり横のつながりもある綿引先生という存在が
とても際立っている。一県にひとりくらいはいると良いが。


下を向いて自分の殻に入ってしまうのではなく
星を見るために上を向く。
すると自然に
同じ丸い星である地球 ということに目が行き
同じ日本の国の中でもいろいろ違う事があるということにも気づく。
そういう少年少女の成長にちょっとうるうるしてしまった。

久しぶりに、この本 手元に置いておきたいかも と思ったのだった。



私も一度だけ、天体観測会をすると声をかけられて子連れで行ったことがある。土星や木星に感動したのを思い出した。

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