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ファンタジー


行きて帰りし物語 というけれど
私自身はちゃんと帰っていただろうか と良く思う。

漫画雑誌の翌週号に思いを馳せ
アニメの続きに思いを馳せ。
完結しない小説の続きに思いを馳せ。
馳せっぱなしで生きてきた。

他人の作った物語の中から出ないのだから
自分で物語を作ろうとは思わなかったのだろう
俯瞰してみる力がなかったのだろう
私にあったのは、入り込む力


両親の仲が冷え切った時
独り暮らしにはいくらかかるか真剣に考えた
喘息持ちの私には、保険証は欠かせない
そんなことは判断できた


「そんなこと考える人は家出なんかしないんだよ」
本当に?



認知症になった後の自分のことを考える
読んでも読んでも理解できずに読み返しながら
その物語の中にずっといるんじゃないだろうか

他人にはわからない
行ったまま帰らない物語

何度も読み返すその本は
いったいどんな本だろうか。

できればハッピーエンドが良い。


枯れてしまったみたい



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