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父と豆大福

父は豆大福が好きだった。
おはぎの方が好きかと思っていたが豆大福も好きだった。

ということで、昨日の墓前には
ほんの一分くらい、豆大福とおはぎを供えたのだった。


介護住宅に入居する直前には足も弱っていた。
急に血圧が下がって倒れることもあって
電車バスで三時間近くかかるところに住んでいる身としては
行くのも大変だし、救急車からずっと
ついていてくれる人にも申し訳ないし、という状態だった。

本人はいくらでも歩けるつもりだったようだけれど
施設側としては、一人で散歩には出せない。
そしてだんだん歩けなくなった。

好物のおそばが出た時に頬張ってしまい、
呑み込めずに窒息しそうになって、救急車を呼ばれた。
飲み込む力が少しずつ弱くなり
作り直した入れ歯も、はめたままでいるのが大変で
そのうち入れ歯もしなくなった。
それでも二年位はおはぎは食べていたけれど
その後、水ようかんになった。
〇〇さんの点滴みたいなものよね と言われたりした。

豆大福を食べられるようにはならなかった。

きざみ食からムース食に代わっても
自力で大半は食べていたので
100歳まで生きるかと思っていた。




父の年金は私の倍額だったけれど
最後の方は、年金だけでは足りなくなっていた。

施設の職員さんたちと「私たちはここには入居できない」
と良く言い合っていたけれど
無策な政府はどうしようもない。

要支援の基準を厳しくしたり
医療費負担を上げたり。
物価は上がる一方だったり。


平地でも姥捨て山とはこれ如何に

だれか
~~~が如し をつけて下さい。

枯れ木も山の賑わい という言葉が洒落にならなくて。



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