風は秋色
どうしても名前を思い出せずにいた。
国道の脇に並ぶ
名前のわからないその黄色い花は
風にゆらゆら揺れていた。
とても思い出せそうにないので
考えることをあきらめた私は
その花を見るともなく眺めながら
たわいもない話に笑っていた。
目的もなくすることもなくなった私たちは
帰ることにした。
最初は晴れていたはずなのに
帰るころには雨が降っていた。
「ほらね。私 雨女だからさ」
そんなやりとりをしながら
窓の外の雨を眺めていたら
またあの黄色い花が揺れているのが見えた。
私はすでに思い出していた。
「セイタカアワダチソウ」と言ってみた。
「ん?」聞き返されたが答えなかった。
黄色い花たちは時々途切れながらも
どこまでもずっと続いていくようだった。
2016年10月28日 金曜日
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