経済書(1):総論

事業経営する上では日本や世界の経済動向についても、ある程度の知識は必要になってきます。単に「景気が良い・悪い」「インフレかデフレか」とメディアで騒がれている以上に、「何が原因でそうなっているのか」「なぜ、今後の傾向をそう言い切れるのか」等々について、より深く考える・知ることは自社事業の経営戦略を立てる上でも重要な要素となるでしょう。

私は理系出身なので、経済の話は社会人になるまでトンと分からなかったのですが、事業経営をする中で少しずつ新聞や雑誌を読んだり、書籍を買って勉強するようになりました。
今回から私が読んだ書籍の中から経済書と呼ばれるものをいくつか紹介していきたいと思います。

経済学入門

経済書と呼ばれるものは何冊も読んできましたが、これまで体系だって「経済学」の分野を理解したことはありませんでした。

最近になって、大学の経済学部で学ぶ内容をコンパクトにまとめた書籍が出てきたので、サーっと読んでようやく基本的な全体像を理解した次第です。

私が大学の頃の経済学部生は、マクロ経済学ミクロ経済学の分厚い教科書を持って、計算機センターやPC98などコンピュータを使った計量経済学が流行り始め、その横で古臭い?マルクス経済学を学んでいたりとそんなイメージがありました。(表面的なイメージでスミマセン m(__)m)

さらに「経済学を味わう」では公共経済学や国際経済学、さらにゲーム理論、金融工学など、それぞれの専門分野の経済学教授によるオムニバス形式となっています。

いまどきの学生は1,2年生からかなり幅広く、かつ数多くの専門分野に枝分かれした経済学に触れる機会が増えているようです。この講座は理系の学生さんも聴講しているようで、学生時代にこういう講義があったらな。と羨ましい限りです。

経済学者とエコノミスト

さて、経済学の教授とともに、「エコノミスト」と呼ばれる方々も数多くの経済書を出版されています。(むしろ、後者の著作物の方が多い)

経済学者とエコノミストの違いがWikipediaに載っていました。

1.個々の経済主体の需要と供給の側面から価格と生産量の関係を
  モデル化するミクロ経済学
2.経済全体として集計された消費・投資、国民所得、物価水準などの
  動向を分析するマクロ経済学
3.数理統計手法を用いて経済の数理分析を行う計量経済学
4.上記3に近いが、官庁や金融機関等に勤務し、政府・中央銀行の
  政策分析やマクロ経済動向の判断を行う(狭義の)エコノミスト

英語で言えば、Economist = 経済学者 ですが、日本語だと4の狭義の意味で使うことが多いかもしれません。

エコノミストというと、ポール・グルーグマンが言うように経済理論や経済政策の基本を良く理解せずに、経済動向をそれらしく予想している人々というイメージが無くはありません。

一方、エコノミストからすると、経済学者は「象牙の塔」の中で、理想化されたモデルを前提に経済理論をこねくり回しているだけで、現実にはあまり役立たないという批判があるのも事実でしょう。

この点、いまの経済学は「理論」とともに「実証」を大切にしているので、この間のギャップも徐々に埋まってきているように感じます。

経済学者✕エコノミスト 斎藤精一郎さん

私自身が社会人になって始めに影響を受けたのは、日銀出身でワールドビジネスサテライトにもテレビ出演されていた千葉商科大学名誉教授の斉藤精一郎さんです。

ご経歴や一般向け著作物からすると「エコノミスト」に近いのかもしれませんが、サプライサイド経済学を日本に紹介するなど経済学の分野でも高い業績を上げられています。

その時代時代に即した数多くの著作において「10年デフレ」「情報エコノミー」などネーミングもユニークなのですが、内容も骨太な経済理論や分析に基づきながら、経済動向やその背景を鋭い切り口で解明しています。

『不確実性の時代(ガルブレイス著)誰がケインズを殺したか(ビブン著)』などの翻訳も手掛けられていますが、氏の書籍を読むと、膨大な経済理論や経済分析をベースにされていて、経済学者でありエコノミストである氏の凄さには、いつも感銘していました。

次回は日本人の経済書から、次々回は海外の経済書をいくつか紹介していきたいと思います。



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