Design Research Tokyo #2 に参加してきた雑感など。

先週の1/16(水)、Design Research Tokyoの第2回のイベントに参加してきました。この記事は当日の備忘録です。

第一回目のイベントは予定が重なったかで参加できなかったのですが、今回は参加できました。会場はTwitter Japanでした。

すでにDesign Research Tokyoのサイトで当日の発表資料が内容とともに公開されていますので、詳しくはそちらを見てください。

1. 組織のリサーチケイパビリティを高めるには

デザイン会社AQの佐々木朋美さん(@tomomiq)の発表。

デザインリサーチに長年携わってきていて抱えていた課題や、組織としてのリサーチ力をどうやって高めていくかという命題、そしてそこからどういった経緯でResearchOpsという考え方にたどり着いたかなど丁重に紹介。

ResearchOps is the mechanisms and strategies that set user research in motion. It provides the roles, tools and processes needed to support researchers in delivering and scaling the impactof the craft across an organization.

2. 個人のスキルを体系化」のところで、キャリアパスやJD(ジョブディスクリプション)の考え方の例として、いくつかサイトが紹介されていたので、そちらのリンクを紹介しておきます。

マトリックス型

地図型

マトリックスと地図を掛け合わせ

あと「3. 組織として鍛える」でJDの好例として英国政府のユーザーリサーチのポジション説明が紹介されていました。ここまできっちり外部に定義されていると良いですよね。日本の企業はこういうのとても弱い感じがします。

2. エンタープライズコンピューティングにおけるデザインリサーチやUXデザイン

二人目はレノボ・ジャパンのへーバーライン・マーカス・高志さんの発表。Motorolaで5年ほどデザインリサーチャーをされたり、PARCのリサーチスタッフだった経歴の方。

以前、自分もメーカーのデザイン部門に所属しいたので、ハードウェアの文脈で語るデザインリサーチやUXデザインというテーマは、アプリやWebサイトで語られるものはまったく次元や時間軸が違う、というのを実感してるので、エンタープライズ法人向けといったキーワードで発表された内容は面白く感じました。

ハードウェアはそもそもの設計制約が多く、ABテストだ、ビックデータ分析だとかデータを裏で取得することが前提の考え方がそもそも出来ないという視点もデータが取れる前提のデジタル(ソフトウェア)サービスとの違いは改めて新鮮でした。

最後の一言、「ちゃんと定性調査やりましょう」。個人的には括弧書きでも良かったので「予算とって」を入れてほしかったですw。

3. グローバルプロダクト開発と日本でのリサーチのインパクト

軽食タイムを挟んでの3人目の発表者は今回の会場を提供してくださったTwitter JapanのHead of User Researchの山内清稔さん(@kiyotoshi_y)。

Twitterのプロダクト開発におけるプロダクトチームとユーザーリサーチの関わり方、グローバルチームとの関わり方などを紹介。

元々は「いわゆるデジタル/IT系の業界ではない異質な業界(McDonald'sなど)からこの業界に入った」と自己紹介してましたが、そうはいっても「初期の頃のIDのMDes卒('97)」というのがとても印象的でした。

1995年にIDいくとか尋常じゃないw

ちなみに、二人目の発表者のマーカスさんもIDの卒業生でした。

自分も大学卒業後にIITかRCAに進学したかったので(資金なくて断念)、早くからそういう場で学べた人は「いいなぁ」という思いしか無いw 
話が脱線するが、社会人になってからIvrea設立の際に話をもらったり(でも最終的に「むしろ、おまえは教える側だ」と言われたw)、IDのオープンキャンパスに会社休んで日帰りで参加してみたりしたけど、まぁ、やっぱり違うよなぁ、という感じで未だに専門的に昨今のメソッド系学んだ記憶がない(汗)

今後のDRTイベント予定

次回は2/27(水)に第三回「UXリサーチ奮闘記」が、場所は Yahoo! JAPAN LODGE。その後は4月に第4回をGoogle Japanで開催予定だそうです。

雑感:日本でデザインリサーチ、経験を積む難しさ

DRTは、他のデザイン系またはユーザーリサーチ系(?)のイベントや勉強会と違い、「デザインリサーチとは…」とか「エスノグラフィー手法は…」みたいな概論的な事やアカデミックな手法の説明や解説を行う勉強会を運営するイメージではなく、現場のリサーチャーやデザイナー/エスノグラファーの集いっぽい印象を感じました。

今回発表した3名は、みな外資系に所属するメンバーでした(AQを外資系とするかは微妙なので外国文化系と言うほうがいいかもしれないですが…)

日本では「デザインリサーチ」という分野は、海外のようにメソッドが確立されているわけでもなく、ユーザーリサーチやユーザビリティ分野ほど特化した学びの場も多くなく、現場では手探りの状態が多く、まだまだ布教活動段階な気もします(そもそもユーザーリサーチと何が違うの?的な話も文脈も必要だったり)

しかし、海外のデザイン会社やエージェンシー、海外の会社や日本にある外資系企業で海外のプロジェクトに参加してたりすると、普通に社内いたり、アサインされるプロジェクトに経験値豊かなリサーチャーが外部から召喚されて参加してたりするので、ここらへんは外資系な現場にまだまだアドバンテージがあるのが事実だな、と実感します。

ちなみにデザイン・リサーチ系で個人的なお薦め書籍は、我らがブランダ・ローレル女史の『Design Research』かな?と思ってます。

以上。

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