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「すごいね」と驚かれたかった

「すごいね」と驚かれたくて
有名企業にエントリーした
「エライね」と褒められたくて
資格試験にチャレンジした

「使えないね」と責められるのが怖くて
時間外の仕事を笑顔で引き受けた
「つまらないね」としらける顔を見たくなくて
宴席用のカラオケ曲を練習した

「さすがだね」と言われたくて
高い服を買ったりもした

そんな風だから
振り返れば足跡はバラバラで
主体性も一貫性もない

でもあの時
背伸びして伸ばした手で
夜更けに黙々と予習した瞳で
私は確かに何かを得た

そして今
誰からも何も褒められなくても
私は自分を送り出す
自分の心が傾く方へ



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