未来
私は今、未来にいる。
何を馬鹿なことをと言うかもしれない。
だが、本当なのだ。
子供の頃に思い描いた遠い未来に私は今生きている。
どこの大学に行き、どんな仕事をするのだろう。
どんな人と出会い、結婚するのだろう。
子供は一人?二人?男の子、女の子?
未来の家や車はどんな風になっているのだろう。
たくさんの可能性に恵まれ、遥かなる未来に思いを馳せていた。
あれから数十年の時が流れた。
長かったようで短く、短いようで長かった気がする。
あの頃思い描いた未来の自分はこんなだったか?
自分では何も変わっていない気がする。
だが、若かりし頃の写真を眺めると、風景や時代が変わったことを思い知らされる。
顔や体は確実に年をとっている。
少しだけ浦島太郎の気持ちになる。
これからあと倍は生きれるはずもない。
目の前に想像しえない未来はもうない気がする。
タイムマシンなどあるはずもなく、未来へ行き着くたった一つの方法は、ただただ毎日を生きることだった。
これから思いを馳せるのは未来ではなく、自分の死だ。
死の先に行き着く先はあるのか、ないのか。いつ訪れるかさえ分からない。
どのようにしてこれから先を過ごしていくのだろう。
きっと、これまでのように、希望を持って、毎日をひたすら生きることだけだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?