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さまざまな経験、のその先。

「先週ゲストで来てくださった〇〇さんは本当にさまざまな経験をしているから、聞き上手だしついつい話し込んでしまいました〜」。とあるPodcastで、こんな言葉が聞こえてきた。僕は車を運転しながら何気なく聴いていたが、瞬時に違和感を覚える。さまざまな経験をしたから聞き上手なのか、だからしっかりコミュニケーションに活かせるのか、という問いが生まれた。

すなわち、僕はそうは思っていなかった。誰もが等しく時間を重ねて「さまざまな経験」をするだろう。もちろんその舞台の規模は異なってくるのかもしれないが、たとえば世界を股にかけて活躍するのも「経験」だろうし、同じ会社に何十年も勤めて家族を養うのも「経験」と言えると思う。

大切なのは、その経験をしっかり咀嚼して、自分の感覚や言葉に落とし込んでいることではないだろうか。感覚や時間を記憶して、それほど自分や社会と向き合って過ごすこと。さまざまな経験をする人は数多くいるとして、それがコミュニケーションに活かされるため、ひいては自分以外の誰かの人生に響くためには、いわゆる「対話」が不可欠なのではないかと感じている。

最近イチローさんの雰囲気を、ふしぎに思う自分がいた。彼の持つ経験、言葉、語り口は人を惹き込むものを感じる。僕はしばしば、企業のプロモーションで出くわす。それこそ世界の舞台で長く活躍を見せた選手ではあるが、じゃあたとえば現在のスターである大谷翔平が現役を退いたら、イチローのような存在になるのだろうか。答えはきっとノーで、その差はおそらく、経験のその先にある対話だ。自分と向き合っているのか、自分の言葉にできているのか。それらが結果として、魅力あるコミュニケーションを生み出してくれるのではないかと思った。

いつもいつもありがとうございます〜。