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つわり中パパが出来ること。二人で乗り越えるべき最初の壁



つわりとは

妊娠の初めに多くの妊婦さんが経験する症状です。
妊娠のホルモンの変化が原因で、気持ち悪くなったり、吐き気などの症状があります。

起床時やお腹が空いている時に症状が強く出ることが多く、匂いで気持ち悪くなってしまうこともあります。

食べ物の嗜好として、今まで好きだった食べ物が食べられなくなったり、逆に普段はあまり食べないものが食べたくなったりします。


いつ頃おこる?


早いと妊娠6週頃から始まって、妊娠12週-16頃に治ることが多いです。

妊娠6週というと市販の妊娠検査でやっと妊娠がわかる頃であり、つわりの症状から妊娠と気がつく人もいるくらいです。

つまり正常妊娠であれば、妊娠がわかってから始めて乗り越えるべき症状といっても良いでしょう。


点滴が必要な場合は?

つわりの症状が強くなると、口から水分や栄養が取れなくなってしまいます。
すなわち脱水や栄養失調になってしまいます。

口から水分を摂取できない場合には、点滴治療が必要になります。
つわりの症状が長引くと、体重が減ったり、おしっこの中にケトン体が多く検出されるようになります。

ケトン体とは、体の脂肪が分解されて出てくる物質です。
絶食状態が続くと体の脂肪を燃やしてエネルギーを作るため、ケトン体が多く検出されるということはすなわち、栄養失調が進んでいる目安になります。

多少の経口摂取ができていても、体重減少やケトン体が多く出ている場合には点滴治療が必要になる場合が多いです。


つわりが原因で起こる怖い合併症


つわりは時期が過ぎれば必ず良くなります。
(良くならない場合にはつわり以外の病気が隠れているかもしれません)
嵐が過ぎ去るのを待てば良いのです。

ただし、その間に起こる合併症によっては命に関わることもあるため、旦那さんは必ず理解しておいてください。

水が飲めないことで起こる脱水が原因の病気と、栄養が取れないことで起こるビタミン不足ミネラルの異常の病気があります。


① 脱水が原因で起こる病気

エコノミー症候群っていう病気を聞いたことがあると思いますが、まさにそれと同じです。
原因が長時間のフライトなのかつわりなのかの違いです。

脱水が進むと血液の濃度は高くなり、ドロドロになります。
血液の流れが悪くなり、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
血栓ができると、その部分の血液の流れが悪くなり、様々な症状が出てきます。

特に血栓が起きやすいところは足の血管です。
足の血管に血栓が詰まると、足の痛みや腫れ、痺れなどが症状として出てきます。

また足にできた血栓は、血流に乗って肺に飛んでしまうことがあります。
これを肺塞栓症といいます。
肺に血栓が詰まると急に呼吸が苦しくなり、命に関わることがある非常に怖い病気です。
そのため足の血栓を放置してはいけません。

片足だけ(血栓が両足の血管に同時にできると言うことは滅多にないため)痛みや腫れ、痺れなどの症状がある場合には血栓かもしれないので早めに病院に連れて行ってあげてください。

② ビタミン不足で起こる病気

ウェルニッケ脳症という病気をご存知でしょうか?
目がうまく動かせなくなったり、真っ直ぐ歩けなかったり、意識がもうろうになることもあります。

この病気の原因は、脳の一部がビタミン不足でダメージを受けてしまうことにあります。
特にビタミンB1という種類のビタミン不足が原因とされています。
つわりによってビタミンが不足すると、この病気になってしまうことがあります。
無理せず点滴の治療を受けるようにしましょう。
(通常ビタミンも混ぜた点滴を行います)


③ ミネラルの異常で起こる病気

体の中にはいくつかのミネラルがありますが、何度も吐いているとカリウムというミネラルが少なくなってしまいます。

このカリウムは、心臓が正しく動くためにとても大切な役割をしています。
カリウムが足りなくなると、心臓のリズムが乱れてしまう(不整脈)ことがあります。
特にカリウムが足りず起こる不整脈は、命に関わることがある怖い不整脈を引き起こすことがあります。
実際に低カリウムが原因の不整脈によって、母体死亡の報告例があります。

つわりがひどいと、血液検査でミネラルの異常がないか確認するのはそのためです。
採血結果は必ず確認するようにしましょう。


お腹の中の赤ちゃんは大丈夫なの?

結論から言うと大丈夫なことがほとんどです。
つわりが起こる週数は、まだ胎盤からの栄養ではなく、卵黄嚢と呼ばれる赤ちゃん自身のお弁当袋みたいなものから栄養をもらっています。
そのため、お母さんが栄養を取れていなくてもほとんど問題になることはありません。

ただしつわりが長期間にわたり続く場合には問題になることもあります。

ここでビタミンKというビタミンの話をします。
ビタミンKは血を止めるために大事な働きをするビタミンです。
つわりの影響でビタミンKが足りなくなると、血が止まりにくくなってしまいます。
お母さんにとっては大きな問題になることはあまりないですが、巡り巡って赤ちゃんのビタミンKが低くなると、頭の中で出血し、後遺症として残ってしまう場合があります。

そのためつわりが長引く場合には、お腹の中の赤ちゃんの為にビタミンKを補う治療が必要になることがあります。

何を食べたら良いの?

結論から言うと食べれるものならなんでもいいです。
栄養価が高いものをたくさん食べなくちゃと思う人も多いかと思います。
もちろんそれが理想ではありますが、そんな余裕はなかなかありません。

つわり中は、熱いものよりも冷たいものの方が受付やすいことが多いです。
個人差は非常に大きいですが、私の妻の場合は野菜ジュースを好んで飲んでました。
あとは柑橘系のフルーツやゼリーなども食べやすいと思います。

つわりは匂いで悪くなってしまうことも多いので、旦那さんが料理をする場合には匂いが強いものは避けるようにしましょう。

また、一度にたくさん食べるよりも、少しずつ何回かに分けて食べると、気持ち悪さが和らぐことがあります。
一日3食に拘らず、食べれるものを食べれる時に食べましょう。


夫にできることは?

つわりは妊娠発覚後から長くて2ヶ月程度続く症状です。
妊娠生活で初めに乗り越えなくてはならない壁と言っても過言ではありません。
そしてその壁は夫婦二人で乗り越えなくてはいけません。

気持ち悪くてゲーゲー吐いている。
そんな状態で家事や仕事なんてできないですよね。

旦那さんは、船酔いしている中料理、洗濯、掃除、仕事お願いねって言われているの同じと思ってください。
辛過ぎる。
旦那さんはできる家事は全部やってあげてください。

また妊婦健診以外に、点滴の通院が必要になる場合があります。
多いと毎日通っている妊婦さんもいます。
病院への送迎を旦那さんが行っている場合には、職場の理解が不可欠であることは言うまでもありません。

状態によっては入院になる場合もあります。
奥さんが入院してしまった場合は、当たり前ですが家のことは旦那さんが全部しなくてはなりません。
家事スキルを磨くことは早いに越したことはないですね。

またつわりが原因の合併症を説明しましたが、一番身近にいる旦那さんが気がつく必要があります。
特に医者から入院を勧められたけど、上の子供の面倒もあるため難しい等、家庭の事情で入院しなかった人は注意が必要です。

誰もが経験するつわりと侮らず、合併症で説明した症状があった場合にはすぐに病院に連れて行く必要があります。


まとめ

① つわりは、妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する吐き気などの症状です。

② つわりは通常1-2ヶ月くらいで良くなりますが、口から水分が飲めない場合は、点滴の治療が必要になる場合があります

③ つわりが原因で起こる血栓症、ウェルニッケ脳症、不整脈について知り、症状があった場合にはすぐに病院に連れて行きましょう。

④ つわり中の食事は食べれるものを少量頻回に匂いにも気をつけましょう。

⑤ 旦那さんは全ての家事をやる心意気が必要です。また頻回の通院や入院が必要になる場合もあり、職場への相談は早めに行いましょう。

2024/8/31時点のエビデンスを元に作成しています。

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