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【Match Report】天皇杯予選 駒澤大vs拓殖大 -駒大伝統のスタイルで一撃必殺-

今回は現場からのマッチレポートをお届け。
天皇杯東京都予選(東京都サッカートーナメント) 学生系の部準決勝
駒澤大学vs拓殖大学駒澤大学の目線からレポートしていく。

○マッチレポート


昨季インカレ準優勝の駒澤大は前回大会を制し、ディフェンディングチャンピオンとして2部の拓殖大を迎え撃った。
拓殖大は、研究を徹底的にしてきたのか極力空中戦を避けてサイドへボールを散らし、FWが裏への抜け出しを狙ってきた。そのため、駒大がポゼッションで優位に立つ時間はなく、チャンスは90分を通して多くなかった。

序盤からポゼッションを握られるが、最終ラインは昨季の躍進をを支えた主力クラスが勢揃い。果敢に向かってくる拓大オフェンスを対人戦で真っ向から迎え撃つ構図が出来上がっていく。
一方の攻撃陣は、ターゲットが高橋潤哉ひとりに絞られていたため、DFの徹底的なマークを受けた。CBが空中戦に強く、ここから起点を作れていたわけではない。サイド攻撃はまだまだ発展途上。縦への突破を効果的に仕掛けられた場面はほとんど見られない。格下を相手に「攻めきれず、攻めさせず」といった歯痒い展開が続き、前半はスコアレスで折り返す。

後半は開始早々に決定的なピンチを迎え、なんとかしのぐ危ない出だしに。一見すると劣勢にも見られたが、ここで伝統の駒大スタイルが火を噴いた。63分、GKの松村優太郎から前線へ大きなフィード。敵陣中央で競り合った高橋がバックヘッドでそらすと、薬真寺孝弥がいち早く反応。見事に裏へ抜け出し、最後は相手GKの頭上を越すループ気味のシュートを沈めた。「ロングボールに競り合って裏へ抜け出す」。この試合で初めてベンチ入りを果たしたレジェンド・深井正樹コーチも懐かしい気持ちを覚えたに違いないだろう。

(先制アシストの高橋(中央右)と抱き合う主将の星キョーワァン(左))

先制点を奪ってからはやや余裕が出た駒大。それまで多く見られたラインのギャップを突かれる場面も減り、攻撃陣は途中出場の森本ヒマンをターゲットに時計の針をうまく進めた。薬真寺が挙げた虎の子の1点を守りきって1−0で辛勝。守備陣はクリーンシートと手応えを得たが、攻撃陣はやや消化不良となった。

次戦は明大と対戦。キーマンである安部柊斗(新4年/FC東京U-18)は登録外となっているが、駒大高出身の佐藤瑶大(新3年)や快速アタッカーの小柏剛(新3年/大宮ユース)ら豊富なタレントを揃える。前回大会でもこの時点で明大と対戦。8年ぶりの勝利を挙げ、チームはここから勢いに乗った。決して楽な戦いにはならないが、ここで勝利を収めて昨季の再現としたい。

○出場メンバーと採点(駒澤大のみ)

GK 1 松村 優太郎(新4年/長崎総科大附)=6.0
→最終ラインとの細かなコミュニケーションでラインを統率。相手の枠内シュートも見事にストップし、無失点勝利に貢献。昨年7月以来の公式戦ピッチで元気な姿を見せた。

DF 2 深見 侑生(新4年/駒大高)=5.5
→時折スピードを生かしたオーバーラップで攻撃に参加。しかし、守備では自陣深くでハイボールの処理を誤るなどやや軽いプレーも散見。

DF 3 星 キョーワァン(新4年/矢板中央高)=6.5
→インカレベストDF&デンチャレベスト11の個人2冠を達成した男はこの日もハイパフォーマンス。圧倒的パワーに加え、空中戦での胸トラップやドリブルで持ち上がるなど、余裕すら垣間見えた。

DF 4 真下 瑞都(新3年/矢板中央高)=6.0
→今季、サイドバックからセンターバックへコンバートした。守備は持ち前の身体能力でそつなくこなしたが、武器のロングスローはターゲットと合わない場面もあり、この日は不発に。

DF 5 桧山 悠也(新2年/市立船橋高)=5.5
→実力が高いが故にこの試合は苦戦した印象。サイドの守備では負担も多く、本来のパフォーマンスは発揮しきれていなかった。

MF 13 江﨑 巧朗(新2年/ルーテル学院高)=6.0
→トップチーム初先発ながら、緊張を感じさせない堂々としたプレーを見せた。能力的にはもっと攻撃に絡む余裕が欲しかったが、試合展開的に守備に比重がかかった。遅延によるイエローは勿体無い。

MF 8 横山 玄徳(新4年/千葉U-18)=6.0
→一時は相手選手が怒りを表すほどハードに戦い、駒大の選手らしい姿勢を見せた。ただし、後半のシュートチャンスで空振りをした場面はもう少し冷静に処理したかった。

MF 14 米田 大介(新3年/浦和東高)=5.5
→1年次以来のトップ戦線。2部校の選手相手にフィジカルで負けてしまうシーンが目立った。持ち味のドリブルもこの日は鳴りを潜めた。

MF 7 荒木 駿太(新2年/長崎総科大附)=5.5
→豊富な運動量は健在。攻守に奔走したが、持ち味のドリブルはDFに待たれたためにかわしきれない場面が多かった。今年のサイドは彼が引っ張らなくてはいけないが故に高評価はつけられず。

FW 10 薬真寺 孝弥(新3年/長崎総科大附)=7.0 ☆MOM
→見事な裏抜け&華麗なテクニックで決勝点をゲット。その後は守備に追われながらも効果的なボールキープでゲームの流れを掌握した。昨季ボランチで鍛え上げたプレスで成長を感じさせる。

FW 9 高橋 潤哉(新4年/山形ユース)=6.0
→空中戦を見事に制し、薬真寺のゴールをお膳立て。駒大のCFらしい印象に残るプレーとなった。しかし、繰り返しの違反による警告は昨季に引き続き改善すべきポイント

<途中出場>
FW 19 森本 ヒマン(新3年/矢板中央高)=5.5
→モンスター級FWの一挙手一投足に会場がザワつくが、投入早々にイエローカードを提示されてしまう。やや意気込みが空回りしてしまう結果となった。

MF 12 竹上 有祥(新4年/駒大高)
→出場時間が15分に満たないため、評価なし。


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