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【レビュー】『日常と科学の間にあるモヤモヤを解消する本』を読んで

発売を楽しみにしていた書籍『日常と科学の間にあるモヤモヤを解消する本』、事前にAmazonの予約を入れていたのが、昨日届いた。

著者:かきもち
出版社:翔泳社
発行日:2021年8月30日 

届いた当日にいっき読み! めちゃめちゃ面白かった! というわけで、さっそく、レビューを書いてみようと思う。


内容の紹介

著者の かきもち氏 にとっては、これが初の単著とのこと。

タイトルの通り、毎日のちょっとしたギモンを科学の視点で解消していく本。3匹のゆるかわいいネコのイラストとともに、ちょっと難しいテーマも分かりやすく解説してくれる。

全部で5章立てとなっており、各テーマは以下の通り。

・第1章 食と科学
・第2章 数学と科学
・第3章 社会と科学
・第4章 健康と科学
・第5章 物理と科学

ちなみにこの本は、「出版甲子園」という学生による本の企画コンペ大会で決勝進出した企画から生まれたとのこと。



★感想

全編を通して伝わってくるのは、著者の「科学」に対する愛情と信頼。かといってそこには愛の押し付けや盲目的な信心はなく、科学との正しい付き合い方や感情との切り分けも踏まえて、純粋に「科学的に考えるのって面白いよね」という想いが伝わってくるものだった。

実際に読み進めていくと、自分自身も普段何気なく直面している日常の出来事に対し、思いもよらなかった科学的な視点で考察されている内容が多く、新しい視点や、そこから派生する新しい疑問や興味が生まれ、非常にワクワクする気分になれた。

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「科学」という言葉をとても広義に使っており、化学や物理学だけでなく、数学や栄養学、さらには科学に関連する哲学や社会学的な視点での解説があったのもポイントだと思う。

この手の本の多くは、メインで使う言葉をとにかく定義(自分で自分の範囲を限定)しがちだけれど、この本ではゆるやかに「科学」の範囲を可変的に許容していて、それがとっつきやすさや自分ゴトへのしやすさ、豊富な話題性につながっているように感じた。

堅苦しく定義づけされないがゆえに、全体の構成も論文のようにガチガチに固められてはおらず、どのページからでも読めるようになっているのも良かった。章立てこそわかりやすく分類されているものの、話題はコロコロと変わっていくので、そこでもやはり「日常のさまざまな局面で、科学が関連してくる」ということが伝わってくる仕立てになっていた。

※これが単著なのがすごい! 領域にとらわれない幅広い「科学」への知見・関心と、おもしろくわかりやすく書ける文才が合わさって成せるワザ…!

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あとがきのあとに、驚くことに「会員特典データのご案内」がついていた。いわく、紙面の都合上載せきれなかった内容を、追加コンテンツとしてWEBで提供してくれるとのこと。

きっと著者のなかでは、載せたいテーマの案が選びきれないくらいあって、そのなかから厳選して厳選して、紙面掲載するテーマを選んだのだろうと想像できる。どんな追加コンテンツが読めるのか、正直まだWEBの方までは読めていないけれど、非常に楽しみである。

一方で、この本の性格上、是非シリーズ化も検討してほしいとも思った。きっと日常に潜むギモンや科学的解消はまだまだあるだろうし、正直に言うと、「モヤモヤが解消」された一方で、新たな「モヤモヤ」が生まれたテーマも多々あったので、そのあたりの回収も是非してほしいと思う。

※例えば、カフェインの精製の話を読んで、「じゃあカフェインレスっていったい…?」という新たなギモンが湧いた。そこから関心を得て自分で調べるのもひとつの楽しみ方かもしれないが、機会があれば是非、かきもち氏の解説を読んでみたい。

※1作目が出たばかりでシリーズ化への期待は気が早いかもしれないが、1作目がたくさん売れればすぐに2作目の話も出るかもしれないので、この文章を読んでくれた方にはまずは是非とも1作目を買ってほしい。ということでもう一度アマゾンのリンクを張っておく。

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最後に、なかでも特に個人的に興味深かった章をご紹介。もちろん、他にも気になる章はたくあんあったけれど。

・1-4.カフェインとの付き合いはいつから? 
・2-2.数字があれば科学的?
・2-4.1+1はなぜ2なのか?
・3-5.科学を支える人がいる?
・4-7.棋士の直感は科学で調べられる?
・5-1.スパゲッティはなぜ2本に折れないのか?
・5-5.金平糖の形はどのようにできる?








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