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個別指導塾講師の心得、格言に学ぶ|子ども達の未来に役立つ“学び”の本質とは?

深く記憶に残る“名著”は、気づきや学びを与えてくれる


こちらの記事は、筆者の記憶に深く残る作品の一節から、個別指導塾講師の心得を再認識させられたお話しです。

記事のポイントは、名著から学んだ塾講師の心得
●小手先のテクニックを伝授しても、子ども達の将来には何の役にも立たない。
●「子ども達の将来に役立つ“学び”の本質に気づいてもらう」ことこそ、塾講師に与えられた使命。
の2点。

名著の魅力もご紹介、5分ほどでお読みいただけます。

記憶に深くきざみこまれた名作

筆者の記憶に深くきざみこまれた名著は、芥川賞受賞作家、開高健(かいこうたけし)先生のノンフィクション紀行「オーパ!」です。
塾講師の筆者に
なぜ子ども達の「自ら学ぶ力」を引き出すことが大切なのか?
を改めて気づかせてくれた作品です。

1978年に初版(大型本)、1981年には文庫が出版。
そして、2021年1月、40数年の時をへて完全復刻版が発売されました。
中学時代に買い与えられた文庫本は、小口が真っ黒になるほど何度も読み返し、しまいにはページがとれてバラバラに……“読み潰し”てしまった状態。
そうなっても大事に手元に置いていた本です。

開高先生の軽妙で洒脱、奥深く、中学生の筆者には、
意味の分からない箇所の多かった描写……

ブラジルのアマゾン川、
見たこともない景色と人々、魚たち……
高橋昇先生の美しい写真の数々。

何度読み返してもドキドキワクワクがとまらなかった、遠い少年の日。

最近はすっかりインドア・フィッシャーマンですが、後に趣味となった「釣り」に誘ってくれたのもこの作品でした。
その後、世界各地を旅するノンフィクション紀行も、シリーズ化されました。

名著からの贈り物

この作品で紹介されている中国の格言(開高バージョン)に、こんなものがあります。

「一時間、幸わせになりたかったら酒を飲みなさい。
 三日間、幸わせになりたかったら結婚しなさい。
 八日間、幸わせになりたかったら豚を殺して食べなさい。
 永遠に、幸わせになりたかったら釣りを覚えなさい。」

開高健著「オーパ」より

中国のものとされていますが原典は不明、ヨーロッパにも似たような格言があるとのこと。
中学生の筆者には、一時間のも、三日間のも、八日間のも、まだよくわからないか、体験できないものでしたが、一番心に響いたのは最後の一行。

「開高さん、ほんとうに楽しそうだもんな…」

いつか、作品に出てくるような魚を釣りあげたい!
そんなことを夢見て、近所の釣具店のショーケースにかじりつく。
開高先生が魚たちと格闘するときに使っていたABU社製リール、高価で買えるはずもないのに穴が開くほど見続け、店のご主人に追い払われていた鼻たれ小僧(=筆者)……

格言の受け止め方の変化

あれから40年。
塾生さんたちと向き合う日々の中で、この格言をあらためて読み返してみると、当時とはまた違う意味で受け止めていることに気づくのです。

“釣り”

やったことの無い方からみると、たゆとう水面に釣り糸をたれて日がな一日を過ごす。そんな太公望的なイメージもあるのではないでしょうか。

長年“釣り”にのめりこんできた者の一人としては、のんびりとしたイメージとはうらはらに、これほど知力、体力、気力をフルに使う奥深い趣味も少ないのでは……そう感じるのです。

経営者の趣味によくゴルフがあげられますが、釣りも双璧の一つ。

格言は、少年のころの筆者が取り違えていた
「釣りをすると、幸せになる」
ではなく、
「幸せになりたかったら釣りを覚えよ」
「魚を釣りなさい」でも「釣りをしなさい」でもなく、
「釣りを覚えよ」
と語りかけます。

作者の想いは、実はここに込められていたのではないか。
今では、次の他の格言もセットではないか、と考えるようになりました。

「授人以魚不如授人以漁」
「人に授けるに魚を以ってするは、人に授けるに漁を以ってするに如かず。」
中国の諺のようですが、英語の諺の中国語バージョンという説もあります。
“Give me a fish and I will eat today; teach me to fish and I will eat all my life.”
「魚をもらえば、今日一日食べていける。魚の獲り方を教われば、一生食べていける。」

漢文の方は、名馬の鑑定方法を教えた“伯楽の逸話”に通じるようにも感じられますし、英語の方は、もっと具体的、直接的な表現に感じられます。

「魚をもらっても1日でなくなる。魚の釣り方(獲り方)を教われば、一生魚に困らない。」
筆者はこんな意訳で、受け止めています。

まとめ

格言の「永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」、
「授人以魚不如授人以漁」、
“Give me a fish and I will eat today; teach me to fish and I will eat all my life.”、
そして、馬の専門家伯楽の教え、
それぞれの名言が、共通して筆者に語りかけてくる
塾講師としての心得は、
●小手先のテクニックを伝授しても、子ども達の将来には何の役にも立たない。
●「子ども達の将来に役立つ“学び”の本質に気づいてもらう」ことこそ、塾講師に与えられた使命。
の2点ではないか……

語った人、書いた人たちが
本当に伝えたかったのは、魚をもらう側の視点だけでなく、与える側の視点、“教え導く者の心得”も含まれている
と受けとめるようになったのです。

格言を通して、勉学にも仕事にも人生にも通ずる根本的な心得(考え方)を伝えたかったのではないか?
「釣り」はあくまで一つの喩えでしかない、そう感じられてならないのです。
マンツーマン個別指導塾の一講師として塾生さん達を支えていく上で
「釣った魚をあげるのではなく、魚の獲り方を伝授できる」塾講師でありたい……
そう心に留め置いているのです。

今回は、個別指導塾の運営と専任講師を務める筆者が、講師としての心得を名言から再認識させられた、というお話でした、
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

豆知識:伯楽とは?

紀元前600年代、中国春秋時代の秦国の穆公に仕えた馬の専門家。姓は孫、名は陽。愛弟子に駄馬の見分け方を教え、一生生活に困らない馬の選別知識を授けたとのこと。
転じて、人物を見抜き、その能力を引き出し育てるのが上手な人を指す。例)「球界の名伯楽」

コトバンク「伯楽」より

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