漫画『sketchy』がとても面白かったので

sketch(スケッチー)/マキヒロチ/講談社

レンタルビデオ店で働く川澄憧子(あこ)
その同僚の小日向しほ
そして出版社で働く竹花
それぞれの事情で立ち止まってしまった三人の女性たちが出会ったのはスケートボードの世界。ゆっくりと、しかし確実に前に進む。
ガールズスケーター群像劇。

スケートボードに乗った少女が街を走っていく。風の強い日。人の姿はなくて、街にはスケートボードの進む音とそして彼女が決めたトリックの音が響いている。真っ直ぐ前だけを見つめる少女の横顔、視点が変わる、静かな街並みとスケートボードに乗った少女の後ろ姿、そして空に浮かぶ『sketchy』の文字……え?カッコよくないですか?
全然と思われてしまったなら私のせいです。この漫画の始まりの数ページなんですけれども、これがものすごくカッコ良いのです。グッと心を掴まれる。こういう絵の力、漫画の面白さをグッと感じるシーンが多くて、主人公の1人である小日向しほが、インスタでガールズスケーターのポストを一つ一つ見ながら、徐々にその世界に興味を持っていくシーンがあって、部屋で体育座りしていた彼女の周りが真っ白になって、その周りをお気に入りのファッションに身を包んだスケーターたちが走り抜けていく……良くないですか?
ストーリー構成や展開もすっごく好きで、読んでいてテレビドラマ、それも連ドラ(メディアをメディアで例えるのって変かなあと思うのですが、そう思うのだから仕方がないです)っぽい感じがしました。3人目の主人公になるであろう竹花さんの別れた元カレ(不倫相手)が、ほかの主人公たちが働くレンタルビデオ店でDVDを借りていて、それを竹花さんちに置き忘れていてしかもそれがスケーターたちの映画で、そう繋がってくるんかーと。単行本一巻がまるまる第一話って感じで「さあさあこれから始まりますよー」って終わるから、ものすごくワクワクする。ラストはスケートボード教室で三人の女性が並んだところで終わるんです。いやあ絶対にエンディングテーマが流れてる。「チェルミコ」「フレンズ」かなあ。
一巻を通して、ずーっと「始まり」の空気が流れていて気持ちがいいし、楽しみで仕方がなくなる一冊でした。

公式サイトに挫折と再生の物語と書いてあるので「挫折…」とハラハラしてるんですけど、しかし読者には待つことしかできないので待ちます。2巻は来年の4月だとさ。
ジャケ買いだったけれど、買ってよかった!自分を褒めたい!そして誰かと共有したいので長々と書いてしまいました。もしここまで読んでくれた人がいるならありがとうごさいます。私のことはいいので、ぜひぜひ『sketchy』読んでください

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