マガジンのカバー画像

掌編

4
掌編です
運営しているクリエイター

#逆噴射小説大賞2020

源平シャーク

源平シャーク

 1188
 
 瀬戸内海上

 波穏やか風爽やか。しかし、一隻の船が今まさに沈まんとしていた。
 原因は、鮫(サメ)!
 巨大な鮫がその身体を絶えず船に叩きつけている。
 船上には源義経、そして巨漢の僧兵、弁慶を含む数人の家来たち。相手が武士であれば無類の強さを誇る彼らも相手が鮫とあっては為す術もない。風にさらわれる木の葉のように船上を転がることしかできない。

 一方、船の真下、海中に突き出た

もっとみる
俺らの声が聞こえるか?

俺らの声が聞こえるか?

 さっきからずっと雷の音がしているが、稲光は見えない。ここは一年中こんな天気なのだという。空が晴れたことなど一度もないらしい。
 THE BARANNSUのフロントマンであるフレドリック・カールマンに会える日が来るなんて、思ってもみなかった。しかも場所は地獄だ。これは比喩じゃなくてマジの地獄だ。ここにいるのは、ツノとかシッポとかが生えた奴らが半分、あと半分が骸骨だ。イカれてる。
 しかしこんなアホ

もっとみる