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MBAの本当の価値ってなに?

MBAとは?

Master of Business Administrationの略。経営学の修士課程である。主に外資系企業で、ある一定以上の役職に就くために必要な要件の一つである場合が多いため、就職・転職活動において書類選考は他の候補者よりも比較的通りやすいと思われる。日本での認知度や広がりは増えつつはあるものの、欧米諸国と比べてまだまだ発展途上国と言えるだろう。

日本におけるMBAホルダーのイメージ

エリートビジネスマン

  「横文字を連発しながら偉そうに机上の空論を言う連中でしょ?」

  「理屈はわかるけど、現場をわかってない」

  「なんかかっこ良さそう!」

  「憧れる!」

  「頭良さそう」

とまぁ、賛否両論あると思いますが、肌感覚としてはネガティブなイメージの方が多いような気がします。特に45歳以上の方々にはその傾向が強く感じます。

実際に国内の大学院でMBAプログラムを卒業しましたが、多くの社会人学生たちが

  「MBAホルダーとしての意識を持ち〜」

  「MBAの価値を高めるために我々は〜」

  「MBAを取ったからにはアウトプットを〜」

と言ったことをよく口にしています。

要は、『MBA』自体に価値を見出したり「ホルダー」としての責任を感じたり、あるいはMBAがあたかも資格であるように捉えているような気がします。

もちろん一理あるとは思いますし、私もMBAのプログラムを通じていろんな学びがありました。一方で、あまり共感できなかったのも事実です。意図していないと思いますが、MBAホルダーの根底に一種の「学歴コンプレックス」を垣間見た気がしたからです。

はびこる「偏差値至上主義」

偏差値が高い高校のメリットとして:

1. トップ大学への指定校推薦枠が多い

2. 授業のペースが早く、大学受験に有利

3. フォローアップの体制が整っていることが多い(私立)

故に、いい大学に入れれば就職活動に有利に働くというメリットを見出している親は多いと思います。

確かにそうですが、忘れてはならないのはその指定校推薦枠を競争の高い環境で獲得しなければならないという事です。もし大学への推薦枠を狙うのであればギリギリ手が届く学校で真ん中かそれ以下になるくらいだったら一つ落として上位に食い込んだ方が可能性は高まる。

また、大学受験に有利なのは確かに一理あります。が、トップの大学を卒業していなければ、就職活動での競争優位性は大半の大学で差はないです。むしろこれから問われるのは

学生時代にどんな経験をしてきたか?

なぜそれを追求して、そこから何を学んできたか?

要は、その人が能動的に何を学んできたか?を問われてきます。

日本の受験と「偏差値至上主義」に関する記事でも書きましたが、「最も高い偏差値の学校がいい」と言う近視眼的な考えが日本には根付いており、「この学校で何を学びたいか?」と言う主観的意義が欠落しているケースが多いと感じます。出身校の知名度がゴールになっていて、自己実現を達成するための一手段であることを忘れているように感じてしまいます。

これからの学校選びでは、「偏差値」を見るのではなく、「ここで何を学べるか?」に重きを置き、その先にある人生のゴールを達成するための通過点として捉えた方が、より豊かな人生になるのではないか?

MBAは「スキル」ではないが、「チャンスをくれる女神」かも?

私は国内の大学院でMBAプログラム(AACSB国際認証+AMBA国際認証)を卒業している。卒業してから3年近く経ちますが、「よし、これで自信を持って仕事に挑める!」や、「今ならより質の高いアウトプットを出せる!」といった風にはなりませんでした。

確かに通っていた1年半、多くの「知識」を学びましたし、刺激的なディスカッションもありました。プレゼン資料の作り方も上達したと思いますし、知見も広がりました。管理会計など、キャリアの中であまり携わってこなかった領域も学ぶことができました。

が、MBAのおかげでビジネス・スキルが上がったと思ったことは一度もありません。知見は広がったし深まったけど、「スキル」は上がっていない。

一方で、キャリアデベロップメント(*キャリアアップだけではない)の機会に巡り会えるチャンスは格段に上がる気がします。それは最終学歴が「MBA」であれば書類選考が他の人と比べ通りやすくなるからです。でも、その先に行けるかどうかはMBAではなく、今までの仕事のアウトプットの質や提供価値。そしてその人が入ることによってチームにもたらす「貢献度の可能性」が決め手となります。

MBAホルダー=仕事ができるではない

MBAは学位です。経営学の修士課程を修了したという証明であるが、仕事ができる証明ではない。多くのMBAホルダー(特に日本に多い気がする)や現役学生はここのポイントを忘れがちだと思います。

私はどう言うわけか、MBAプログラムを首席で卒業することができましたが、卒業生の中で一番仕事ができるか?と問われたら真っ先に「絶対に違います!」と言うでしょう。一番勉強ができるか?と聞かれても、「ありえない!」と断言します。

たまたま授業でいい点数を取るための戦略がフィットしただけであり、本質的に他の学生より優れていたと感じたことは一度もありませんでした。むしろ高校時代の挫折を追体験したほどです、、、

で、MBAの価値とは?

『大人になって初めて「学ぶ」ことの楽しさを感じられる、かけがえのない時間』

いろんな卒業生と話しても、MBAプログラムを振り返ってみた時に、異口同音にこれが一番、多かったです。入学時の志望動機は人それぞれですが、出口は大体ここに行き着いている気がします。

特に社会人学生にとっては、卒業するまでの2年余り、日々の業務を止めずに(質も落とさず)、大学院の勉強をし、毎週大量のレポートを提出することとなります。睡眠時間はもちろんのこと、家族や友人・恋人との時間を大幅に削りながら過ごすこの時間は側から見るとただの苦行にしか思えないのでは?(笑)

それでも、多くの卒業生から「楽しかった」や「充実していた」と言うポジティブな言葉が発せられるのは、やり切った達成感の先にある「自分に対する自信と誇り」や、「周りの人への感謝」を強く感じるからだと思う。

それに気づけたことで、モチベーションが高まり、より仕事に没頭でき、仕事のスピード x 質 x 量 が高速で回転するようになり、キャリアディベロップメントが深化する。そこにキャリア・アップや年収アップ、ワークライフバランスの充実が結果としてついてくる。このスパイラルこそがMBAの最大の価値なんじゃないでしょうか?私の考えるMBAの本当の価値とは、

『MBAはキャリア・ディベロップメントを深化させるカタリストになり得る』

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