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『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』小川一水(著)

人類が宇宙へ広がってから6000年。辺境の巨大ガス惑星では、都市型宇宙船に住む周回者(サークス)たちが、大気を泳ぐ昏魚(ベッシュ)を捕えて暮らしていた。男女の夫婦者が漁をすると定められた社会で振られてばかりだった漁師のテラは、謎の家出少女ダイオードと出逢い、異例の女性ペアで強力な礎柱船(ピラーボート)に乗り組む。体格も性格も正反対のふたりは、誰も予想しなかった漁獲をあげることに――。日本SF大賞『天冥の標』作者が贈る、新たな宇宙の物語!

百合漁業SF。主人公たちは可愛く、ラストは一応ハッピーエンドなのだけど、しこりのような不快感が取り除けない。結局、主人公たちは、今いる社会を見限らざるをえない所が悲しい。

SFとしては、木星型ガス惑星に住む魚(鉱物資源)を獲って生活する所や、自由に形を変えられる粘土の船、その正体、といった所が楽しめたが、宇宙に進出する遥か未来でも、人間はまったく進歩していない所はストレス。

漁師は夫婦で船に乗るという古い因習を、伝統だからと一考もせず権力でゴリ押しし、出来ないなら船を没収する態度にげんなりした。技術は進んでも、人類が進歩してないSFな本当に切ない。人類の本質はそんなものだ、という主張には完全に同意なのだけど、せめて小説では希望をもたせて欲しいよ。

そんな、天才を活かせない、古い行動を変えられない、凡人の上司・権力者が支配する社会から逃げて幸せになるのも良いけど、糞社会を破壊してスッキリさせてほしかったな。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF #小川一水

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