『夢みる宝石』シオドア・スタージョン(著)川野太郎(訳)
孤独と愛をひしひしと感じる傑作! しかもそれぞれが響き合ってる。すごい。ラストは衝撃の連続で呆然となるが、まさか蟻が伏線だなんて(笑) 甘々だがそれが良いよ。
お話は、養父に虐待され指3本を失った孤児の少年が逃げ出し、カーニバルの小人たちに匿ってもらう。少女に変装し歌を披露しながら暮らしていたが、少年はいつまでも成長しないし、さらにいつの間にか指が生えており…。
タイトル通り、宝石(水晶っぽい)に意識があり、人間には気づけ無い形で文化を養ってる世界観が面白い。
宝石がみる夢が現実に影響を及ぼしており、魔法のように法則を超えてくる。しかしこれが、人間を憎むカーニバルの団長に見つかり、人間への復讐の道具にされてしまう。
そんな中、そのカーニバルに不思議な水晶の目をはめた人形をもつ主人公がやってくるという奇縁が物語の始まり。小人のジーナは団長が何をしてるか知っているので、あえて少年を手元に隠すところがめちゃくちゃ格好良い。さらに少年を愛し、一人前に育ててゆく。
後半は、主人公がカーニバルを出ていくが、そう集約するのか、と作者の手腕に感服。さらに、すべてが一点に集約するラストは、読者の予想を裏切ってくる。えぇ~! の連続。どう決着するのか全然予想できないまま、見事に翻弄された。
ちなみに、トム・リーミイっぽいなと思ったら、全然こっちのほうが古い。トム・リーミイ、影響受けすぎだろ(笑)
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