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『魔術師ペンリックの使命』ロイス・マクマスター・ビジョルド(著)鍛治靖子(訳)

ペンリックは、アドリア大公からセドニアのアリセイディア将軍に宛てた内密の手紙を携え、船でセドニア帝国に向かった。だがなぜか港についた途端、間諜として拘束され、投獄されてしまう。自らの内に棲む庶子神の魔デズデモーナの助けで牢を脱出したはいいが、なんとか尋ねあてた将軍は既に捕らえられ、両目をつぶされていた。最初から全てが将軍を狙った政敵による罠だったのだ。責任を感じたペンリックは医師と偽り、将軍の手当てを買ってでる。だが再び将軍のもとに敵の手が……。表題作を含む中編3編を収録。〈五神教シリーズ〉最新作!

ペンリックシリーズ2作目。結構時間が経過して、ペンリックは30歳。前作はかなりファンタジー色が強かったが、本作はほぼ冒険譚。ヴォルコシガン・サガを読んでるのかと思うほど(笑) 中編3編となっているが、実質長編。すばらしい読み応えだった。

冒頭、スパイとして密書を運ぶペンリックが速攻捕まってて笑ってしまう。マイルズなら口八丁、ペンリックなら魔法で脱出するところが違うが、面白さは互角。

その後、先入先の国の将軍とその妹と旅することになるが、この3人でのやり取りも知性溢れかなり楽しい。追手に怯えつつ徒歩や馬車で延々移動する地味な展開がつづくのだが、全然だれない。

また、魔(ペンリックの中に同居する10人以上の女性の意識!)の活躍も楽しい。追手やピンチを魔の機転で乗り越えてゆく。売春婦のミラの活躍シーンは爆笑した。

楽しい会話、ピンチが交互にくるし、逃避行が終わったと思ったらまた事件が起こるしで、息つく暇もない。

もう一つの見どころがペンリックの恋愛模様。冒険を縦軸、恋愛が横軸となっており、将軍の妹を延々くどいてゆく。身のうちに大量の小姑を抱えてるのに、よく恋愛する気になるなぁと面白い。若い頃はさぞトラブルが耐えなかったろうと想像するだけで笑える。

結構分厚いが、最初から最後まで楽しくてたまらない一冊だった。

ちなみに、表紙絵メイキングを見つけたが、想像の20倍手間がかかってた。スゲー。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #海外小説 #ファンタジー

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