『オクトーバー・リスト』ジェフリー・ディーヴァー(著)土屋晃(訳)
ドンデン返しの魔術師が技巧のかぎりを凝らした前人未踏&驚愕連続の “逆行” ミステリー!
本書は最終章ではじまり、第1章へとさかのぼる。
娘を誘拐され、秘密のリストの引き渡しを要求された女ガブリエラ。隠れ家にひそみ、誘拐犯との交渉に向かった友人の帰りを待っていた。しかし玄関にあらわれたのは誘拐犯だった。その手には銃。それを掲げ、誘拐犯は皮肉に笑った……。
『ボーン・コレクター』『ウォッチメイカー』などでミステリー・ファンを狂喜させてきたベスト・ミステリー作家の神髄がここにある。
ラストから逆行してゆく変則ミステリー。ラスト4章の切れ味がえぐい!
正直、かなり読みづらい。突然ドラマがクライマックスなので、誰? なんで? の連続。ページが進むにつれ、過去が明らかになり、ちょっとずつ全貌が明らかになってゆく。しかし、全貌が見えてきても、依然納得できない点や矛盾がちらほらあり、ストレスが溜まってゆく。冒頭から、戸締りされた部屋にあっさり侵入されて「なんでやねん」という気分になる。主人公のヒスもイライラするし。
そういうのが積み重なり、読むのやめようかなと思いつつ、一応オチだけでも確認するか、というネガティブな気持ちで最後まで読んだのだが、ラストが予想外。いや、予想外な真実があるんだろうな、とは思っていたが、まさかここまでなんて! と2重の驚き。ここまで意外なのは久々だよ。ジェフリー・ディーヴァーをなめてた。
ラストは細かな疑問も見事にすべて解消される。まぁこんなに上手くいくはずないだろとは思うが(笑)
作者序文や訳者解説もノリノリで笑ってしまった。構成もお見事。惜しいのは、ここで最後に登場人物一覧が出てきたら「あるのかよ!」とキレながらも笑えたのに!(ないので読中すごいこまる)
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