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『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン(著)

あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。姉のコンスタンスといっしょに、他の家族が皆殺しにされたこの屋敷で、ずっと暮らしている……。惨劇の起きた資産家一族の生き残り。村人から忌み嫌われ、外界との交流も最低限に止める彼女たちは、独自のルールを定めて静かな生活を送っていた。しかし従兄チャールズの来訪をきっかけに、美しく病んだ箱庭世界は大きな変化をむかえる。“魔女”と称された異色作家が、超自然的要素を排し、無垢な少女の視点から人間心理に潜む悪意が引き起こす恐怖を描く代表作。

なんという後味。微妙に爽やかなのが気持ち悪い。怪作ホラー。

お話はメリキャット(メアリ・キャサリン・ブラックウッドの略)により語られるが、それが村人が死ぬ妄想だったり、オリジナルの魔法だったり魔除けだったりと、マッドティーパーティの如く浮世離れしている上に、閉鎖的な村での陰湿な仕打ちが追い打ちをかけ、かなり欝々とした気分にさせられる。

そしてそれはエスカレートする。過去の一家毒殺事件の内容が明らかになったり、助けに来たと言いながら金目当ての従兄が出てきたり、各イベントで加速度的に悪化する。読んでいてかなりしんどいが、ピークを越えた終盤、なぜか不思議な落ち着きを取り戻す。それはそれで不気味で怖く、タイトルの意味がやっと理解できる。うわーとなる。

内容と文体がマッチしているおかげか、不協和音を出しているのか、どちらかわからないが、とにかく読んでいて心がぞわぞわする。

読書として面白いのだが、読まなかった方が幸せだったかもな、とは思う。ホラーは苦手だ…。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #海外小説 #ホラー #シャーリイジャクスン

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