『逃亡テレメトリー』マーサ・ウェルズ(著)中原尚哉(訳)
弊機シリーズ4冊目はミステリィ!(と掌編2つ) ステーション内の業務用通路で他殺体が発見される。元弊社が絡んでいるかもなので、警察機構だけでなく、弊機も捜査に加わることになるが、信用ゼロなのでハッキングは禁止される。アウェイ感の凄まじさが大昔の黒人刑事物を思い出させるレベル。
まぁ普通の人からしたら、ボットは人間の死体を使ったロボット、という認識なんだろう。なので冒涜的嫌悪感を感じてる。読者は弊機の一人称を読んでるので、感情も人格もある普通の人間だと知っている、このギャップが感じづらい。もうちょっと丁寧にボットの認識を描いて欲しいかな。
本編は、割りと地道に捜査するのだが、弊機のスペックが高いので常に警察の捜査の一歩先をゆく。それが、能力は認めざるを得ないが気に食わない、という微妙な空気を生むのが笑える。溝が深まってるのか縮んでいるのか微妙で楽しい。
しかし犯人側もハッキングを駆使しており、捜査が難航。犯人についても、そんなん予想できねーよという感じだったので、ミステリィとしてはやや微妙かな。でも全体を通じて、周りの弊機への理解が深まってゆくのは、見ていてニヤニヤできて良い。
掌編2つも地味だがツボを抑えており、文句なし。
ちなみに、今回一番笑ったセリフは「弊機は頭のパーツに人間の神経細胞を使ってるので知能が低いかもしれません。」
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