『オルタード・カーボン』リチャード・モーガン(著)田口俊樹(訳)
ハードSFでハードボイルド探偵(?)モノ。大好物!
ニューロマンサーとブレードランナーを足して割ったような感じ。しかし読み終わると、カウボーイビバップの「浪花節だぜ、まったく」というセリフが脳内再生されたよ。SFだけど人情の物語。清濁併せ呑むエピローグが憎らしい。
舞台は、精神を完全にデジタル化し、任意のボディにインストールすることで不死が実現できてる未来。ただ、これには金がかかり、長生きするのは金持ちで、貧富の差は広がるばかりというディストピア。
そんな世界で、ある金持ちが自室で死亡し自殺と判断されるも、自分が自殺するはずが無い、とバックアップから復元された金持ち本人が納得せず、元特殊部隊で現在保管刑中の主人公をダウンロードして捜査させる、というお話。
前半は世界観をのみこみつつ襲撃を受けたり襲撃したりとかなり忙しい。エピソードも固有名詞も散弾のように飛んでくる。さらにはラブロマンスまで!
そして、後半でそれらが繋がってゆくが、結構な確率であれなんだっけ? になる。読み流してた背景が伏線だったりする。短期集中読書をお勧めする。
この世界観で特に面白いのが、ボディ(作中ではスリーブと呼ばれる)が高価な所。精神のバックアップはインプラントで簡単に行えるが、体の作製はまだコストがかかるので、保管刑になった貧乏人の体などが買われ、復活に使われる。(金持ちはクローンを作れる)
別人の体での復活となるので、本人、家族、恋人の戸惑いが凄まじく、このあたりの悩みがこの世界の定番らしい。主人公のスリーブも予想外のドラマがあって良かった。
どうでも良いが、武器のネーミングが、毒グモ弾とか手榴弾ライフルとかやたらダサいのはなんでだろ。これのせいで攻殻機動隊的カッコ良さはのがしてる。
ちなみに、下巻の登場人物一覧で黒幕のネタバレをくらうので、下巻を読む際は先に読まないように。
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