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『ガットショット・ストレート』ルー・バーニー(著)細美遙子(訳)

愛すべき悪人たちの騙し合い・・・
刑期を終え出所したばかりの運び屋<シェイク>。
コケティッシュな嘘つき女<ジーナ>を救ったばかりに
大金と幻の遺物をめぐる奔走劇にまきこまれる。
追って追われて、最後に笑うのは誰なのか?――

ヒロインが嘘と裏切りの連続で笑える。完全に峰不二子。テンポ、会話、オチ、全て軽妙で、読んでいて笑顔が絶えない。素晴らしいエンタメ・クライム・ノヴェル。

出所したての主人公は真人間になろうと決意するも、しがらみから、ギャングのボスからギャングのボスへ車を届ける仕事を請け負ってしまい、積荷の女の話に同情し逃してしまう。しかし女の話は全て嘘で、さらに女と引き換えに受け取るはずだった荷物も持ち逃げされてしまう。ギャング双方の追手を躱しながら女を追うが…というお話。

11月に去りし者』が面白かったので、これも手に取る。深さはあまりないけど、エンタメ度はこちらのほうが断然高い。基本的に悪人しか出てこず、そいつらが騙し合って出し抜きあう様がスピーディかつコミカルに描かれる。全キャラとにかく良い。

主人公達は生き延びるため(素かも)、いろんな人を踏み台にするのだが、冒頭、刑務所で出てきたヴェーダーが何度もこけにされるのが最高で、車を乗り捨てるシーンは心底笑った。しかし、ヴェーダーと再会するフラグとしか思えないよ。絶対殺されるよ(笑)

もうひとり巻き込まれるのがテッド。完全に一般人なのに踏んだり蹴ったりでこれまた笑える。若干の救いを与えて終了かと思いきや、その後本編に再登場するなど、読者を驚かせる。こいつを含め、全てのパーツが噛み合うラストが本当に爽快。そしてそれに砂をかける峰不二子に笑ってしまった。ルパンはなんで峰不二子と付き合ってるのか不思議でしょうがなかったが、本作を読んでちょっと気持ちがわかった。翻弄されるのも楽しいね。

ちなみに本作、シリーズ化しててるが続編は未翻訳。翻訳されますよね? ヴェーダーと再会させて欲しいんですけど(笑)

#読書感想 #読了 #ネタバレ #海外小説 #サスペンス #ルーバーニー

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