『指名手配』ロバート・クレイス(著)高橋恭美子(訳)
シリーズモノと知らずに読んだが、全く問題なし。構成とキャラが素晴らしいサスペンス。ラストが安易だけど、それ以外は最高なので、全体としては満足。
お話は、最近息子が分不相応な時計を身に着けてるし、多額の現金も部屋で見つけてしまった。犯罪に関与しているのでは? 調べてくれ。というシングルマザーからの依頼を調査する探偵パートと、殺し屋二人組が誰かを探しながら、関係者を殺してゆくパートが交互に描かれる。
探偵パートは、つてを使って、富豪宅への空き巣ですね、と速攻で解決するも、息子が逃亡。自主させるために警察より早く見つけ出す必要が出てくる。
逃亡先を調べると謎の死体に行き当たり…。
殺し屋たちの目的はなにか!? 果たして殺し屋と警察より早く子供を見つけ出せるのか!?
冒頭から事件が解決する笑える構成、有能で良心的な探偵、殺し屋二人組の楽しいやり取り、量産される死体、阿呆なガキども、今までのシリーズで登場したであろう濃い人達、すべてが魅力的。
しかしやはり、殺し屋二人組、ハーヴェイ&ステムズが一番ステキ。エピソードや遣り取りが本当に楽しい。パルプ・フィクション味がある。作者も書いててさぞ楽しかったろうな。
空き巣の犯人は子供3人組なのだが、こいつらが心底ウザい。毒親の被害者、という一面もあるが、斟酌してもウザい。
最後、タイソンはほんのちょっと成長の兆しが見えるものの、アンバーは活躍してしまったがために、戻ってこれなさそう。
子どもたちの処罰までは描かれてないが、ただの仕事なのに命をかけたコールたちの心意気が子供たちに伝わればよいが…。と微妙な読後感。
ちなみに、コール&パイクシリーズの17作目だが、全然邦訳されてない。警察犬モノがピックアップされて訳されてるのかな? これはその続編扱いらしいが、警察犬は出てこないので訳者後書で陳謝されてる(笑)
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