『世界が終わるわけではなく』ケイト・アトキンソン(著)青木純子(訳)
『ライフ・アフター・ライフ』が良かったので手に取る。
本書は幻想短編集。抜群のテンポと神話の隠喩が特徴的。長編とは全然雰囲気が違い、明るいタッチ。作者の幅の広さ驚く。
ラストに仕掛けがわかるも、寂寥感でいっぱい。だが、悲壮感のかけらもないのが凄い。この世は通過するだけのものだから、という水木しげるの猫を思い出す。
お話の舞台はどれも現代ながら、日常と非日常がぴったりくっついてる不思議な読み心地。戦争地帯で楽しくショッピングしてる第1話から違和感が半端ない。この不協和音が世界のズレを感じさせゾクゾクする。
好きなのは「魚のトンネル」「予期せぬ旅」「時空の亀裂」。
どれも隠喩と現実が混ざってるところが大好き。
本編と関係ないが、クラスカーストの最下層描写「不可視階級」に爆笑した。
また、訳者後書で翻訳できないダジャレへの言い訳にフフッってなった。
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