『りかさん』梨木果歩(著)
リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時——。成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。
おばあちゃんにリカちゃん人形をねだると、市松人形のりかさんが届いた。取扱説明書とともに。失望しふて寝する主人公と、それを許し、謎の波動で失望を解きほどいてくれるりかさん、という出だしが素敵で心つかまれる。
ほのぼのだが、不思議で切ないお話だった。少女が主人公だし、人形が喋るファンタジーな世界なので、児童書なのかな? とも思うが、その割に人形たちの言葉使いが難しすぎるし(日本人形たちは言葉遣いも古い)、アンバランスさはちょっと戸惑う。しかしそれがホラーだしノスタルジックだしなんとも言えない雰囲気になっていて、人形たちの物語を引き立ててる。
第2話、アビゲイルのお話が悲しすぎて辛い。恨みで呪物にならないのが不思議なレベルだよ。しかし主人公とりかさんのおかげで無事成仏するさまが神々しかった。
もっと長々いろんなお話が読みたいのに2編しかなく残念。
書き下ろしの「ミケルの庭」は別作で本作の続編「からくりからくさ」の続編にあたるらしい。りかさんが出てこないのはからくりからくさでわかるのだろうか。読むのが怖いんですが。からくりからくさ読んでから読みたかったな。
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