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『帝国という名の記憶』アーカディ・マーティーン(著)内田昌之(訳)

大使として、銀河を支配する帝国を訪れたマヒート。そこは策謀が渦巻く混沌の極みにあった。ヒューゴー賞に輝いたSF宮廷陰謀劇

最近のヒューゴー賞はポリコレ臭いので警戒して読んだが、なかなかのエンタメ作品。宮廷劇がメインだが、記憶と人格を引き継ぐイマゴマシンという主人公の出身ステーションの独自技術が銀河帝国に波紋を投げかける。

序盤の展開や政治劇が士郎正宗のアップルシードそっくりなので、以後全部士郎正宗画で脳内再生されて幸福(デュナンとヒトミ)。

しかし、用語もわからないうちに波乱の展開だらけでかなり読みづらい。宮廷会話も意味不明だし(キャラが笑っていても何が面白いのか検討もつかない)、雰囲気で読まざるを得ないのがやや残念(下巻の巻末に用語集があると読後に気づき2度残念)。主人公が機転でピンチをかわしているのだが、わかりづらいのでスカっとしない。

一番残念なのはトゥウェルブ(主人公の案内人の男友達)の扱い。この本で一番活躍した人間なのに、この使い捨てみたいな扱いが酷い。その後の百合展開は追い打ちのように感じたよ。(ヒューゴー賞の理由はこれか、と気付き3度残念)

ちなみに一番おもしろかったのは名前。ファーストネームに数字をつけてるところ。ワンとかスリーとか。これのおかげでキリスト教臭がゼロになっており、その効果に感動した。これと詩のおかげで、白亜の建物がにあう不思議な異国情緒が生まれていた。

あと、”人格のほとんどは内分泌系で決まる”ってセリフもクールで大好き。

士郎正宗好きには刺さるかも、という本だった。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #海外小説 #SF

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