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『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴン(著)東野さやか (訳)

貸金庫を襲った強盗団が、身元不明の遺体と鼠の置物を残して姿を消した。三年後、サミット開催が迫るなか要人を搬送するヘリコプター会社の社長が殺される。テロを警戒した政府はポーに事件の捜査を命じるが、MI5の妨害で捜査は遅々として進まない。天才分析官ティリーが発見したデータのおかげで犯人を追いつめたかに見えたが…。二転三転する状況でポーが辿り着いた真実とは。驚愕のシリーズ第四作。

今回は助っ人捜査。ポー達に危機が迫らないので安心して読めるなぁ、と油断してると、重い社会派テーマに殴られる。読後、日本も他人事ではない、というか、地政学的により悪いので、なんとも言えない気持ちになってしまった。

前回の事件が壮絶だったので、ポー達は全員1ヶ月の休暇をもらってたのに、MI5から半強制で殺人事件の捜査を任される。売春宿で男が撲殺された、というよくある金銭トラブルに見えたが、なぜか暖炉の血だけが拭き取られており…、という出だし。

シリーズ的には箸休めながら、ポーとティリーが小さな手がかりから、(コントをはさみつつ)どんどん真実を明らかにしてゆく、というスタンスはいつも通りで最高に楽しい。
今回はさらにFBIとMI5の捜査員も一行に加わり、かなりにぎやか。MI5は依頼してきたくせに邪魔ばかりするのでやきもきするが、今回も思いがけない真実と着地で大満足。最初の事件からはまったく予想出来なかった展開。who と what を解き明かしてゆくが、読者に明かされる情報だけでは絶対真相にたどり着かない。このシリーズの魅力は、ミステリというより、現在進行系の犯罪を止められるのか、といったサスペンスなんだなと今更気づく。それでいて、隠れていた真実も魅力的だし、事件の後まで毎度面白い、という畳み掛けがすごい。

今回さらに良かったのがレギュラーメンバー。フリンは回復してきているし、ティリーは雑談を練習していてかわいい。しかしなにより、エステル・ドイルがポーにアタックしてて吃驚。外堀(ティリー)から埋める手腕も見事。そしてポーが毎度ときめいてるのに自覚なしで笑う。まぁ自分も気づいてなかったが。どうなるか目が離せない。

また、MI5とのツテを得て、ポーの家問題は解決し、母親レイプ犯の調査も進む様子。実の父との対決、どうなるのか楽しみしかない。

そういえば、ティリーはスパイダーマン全集もらえたのかな? 流石にそれは追い打ちだが、ティリーはやりそうよね。。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #海外小説 #ミステリ  #サスペンス

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