『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴン(著)東野さやか (訳)
今回は助っ人捜査。ポー達に危機が迫らないので安心して読めるなぁ、と油断してると、重い社会派テーマに殴られる。読後、日本も他人事ではない、というか、地政学的により悪いので、なんとも言えない気持ちになってしまった。
前回の事件が壮絶だったので、ポー達は全員1ヶ月の休暇をもらってたのに、MI5から半強制で殺人事件の捜査を任される。売春宿で男が撲殺された、というよくある金銭トラブルに見えたが、なぜか暖炉の血だけが拭き取られており…、という出だし。
シリーズ的には箸休めながら、ポーとティリーが小さな手がかりから、(コントをはさみつつ)どんどん真実を明らかにしてゆく、というスタンスはいつも通りで最高に楽しい。
今回はさらにFBIとMI5の捜査員も一行に加わり、かなりにぎやか。MI5は依頼してきたくせに邪魔ばかりするのでやきもきするが、今回も思いがけない真実と着地で大満足。最初の事件からはまったく予想出来なかった展開。who と what を解き明かしてゆくが、読者に明かされる情報だけでは絶対真相にたどり着かない。このシリーズの魅力は、ミステリというより、現在進行系の犯罪を止められるのか、といったサスペンスなんだなと今更気づく。それでいて、隠れていた真実も魅力的だし、事件の後まで毎度面白い、という畳み掛けがすごい。
今回さらに良かったのがレギュラーメンバー。フリンは回復してきているし、ティリーは雑談を練習していてかわいい。しかしなにより、エステル・ドイルがポーにアタックしてて吃驚。外堀(ティリー)から埋める手腕も見事。そしてポーが毎度ときめいてるのに自覚なしで笑う。まぁ自分も気づいてなかったが。どうなるか目が離せない。
また、MI5とのツテを得て、ポーの家問題は解決し、母親レイプ犯の調査も進む様子。実の父との対決、どうなるのか楽しみしかない。
そういえば、ティリーはスパイダーマン全集もらえたのかな? 流石にそれは追い打ちだが、ティリーはやりそうよね。。
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