『銀河核へ 下』ベッキー・チェンバーズ(著)細美遙子(訳)
銀河共同体政府からの大仕事を受注したトンネル建造船“ウェイフェアラー”。一年近くに及ぶ長い航海で訪れる様々な天体と、そこで出会う異星種族たち―訳あって火星を逃げ出してきたばかりの新人乗組員ローズマリーにとっては、すべてが驚きの連続だ。彼女たちはいくつもの危機を乗り越えて、未知の種族トレミが支配する銀河系中心部をめざす。そこで待ち受けていたものは?
あっさり銀河核到達。そして意外な展開。終盤の展開は手に汗握った。物語はオールハッピーな大団円とは行かず、ちょっとしんみりして終了。しかし素晴らしい旅だった。皆のエピソードがただただ良い。皆の色恋悲喜こもごもだが、ローズマリーの色恋が衝撃だった。ジュブナイル的SFでこういう展開がアリというのは、時代が変わったなぁと感じて面白い。
ただ、下巻も、エピソード的なもので、宇宙の文化・風習説明や、乗員たちの紹介がメイン。なので旅自体がやや緩慢。ハラハラドキドキ要素が少ないので、タイムリミットとの戦いとかあると良かったかも。ラストだけはハラハラしたけど全体的にもメリハリが欲しかった。
とはいえ、嫌な奴の出てこない暖かな素晴らしいSFだった。皆の新たなエピソードの翻訳が楽しみ。個人的に、ボディを持った彼女の成長が楽しみでならない。
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