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『嘘と正典』小川哲(著)

零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる「ひとすじの光」、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する「時の扉」、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る「ムジカ・ムンダーナ」、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された「最後の不良」、CIA工作員が共産主義の消滅を企む「嘘と正典」の全6篇を収録。

初読み作家。魔術師がキンドルで無料公開されていて、それが面白くて手に取る。SFや非SFの短編集。ジャンルはヒューマンドラマかな?
魔術師が一番好き。他はインパクトに欠ける。

魔術師

凄まじく気合の入ったマジックが披露される。観客としてなら是非とも見ていたいが、身内にやられるとたまらんな、と同情しかない。父と姉は今どこで何をしているのだろう、と考えると薄ら寒くなる。
しかし、もしかしたら本物のタイムマシンかも、と思わせるには、お姉ちゃんがお父さんの所に向かおうとする必要があるよね。それらの記述、行かない理由が欲しかった。

ひとすじの光

主人公が馬主になるお話。人はこうして沼にハマってゆくんだなぁ、となんともいえない気持ち。こういう過去からの繋がりを、しがらみと感じるか、絆と感じるかは気持ち次第だよなと感じ、改めて自分のドライさを思い知る。

時の扉

語り口は面白いが、お話自体は微妙かな。時の扉内、何百億という人で溢れちゃうんじゃない?

ムジカ・ムンダーナ

馬が音楽になっているが、ひとすじの光とほぼ同じ話。
ローリング・ストーンズで荒稼ぎできるなら、タイガにあまり期待できない気がする。

最後の不良

流行が消え去り、人々が無個性になる世界のお話。無印が世界を征服したらこうなるかもね、と笑ってしまった。でも制服同様、色々考えなくて済むので、こんな世界も楽だろうな。というか、ハードな断捨離してる人は、この世界に個人で突入している人だよね。楽そう。でも楽しくなさそう。

嘘と正典

歴史改変SFだが、落ちはちょっと残念かな。ゴリゴリに改変してパラドックスを見てみたかった。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF #ヒューマンドラマ #小川哲

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