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『星、はるか遠く: 宇宙探査SF傑作選』中村融(編)

いつの日にか人類は、生まれ育った地球をあとにして、宇宙の深淵へ旅立ってゆく。そのとき彼らが目撃するものは──。SFは1世紀以上にわたって、そこに待ち受けるであろう、想像を超えた驚異をさまざまに物語ってきた。その精華たる9編を収録。舞台となるのは、太陽系外縁部の宇宙空間、人類が初めて出会う種属の惑星、あるいは文明の滅び去った世界。本邦初訳作2編を含む。

最初と最後の2編が断トツに良い。これだけでも読む価値あり。
他も、ギャグ、シリアス、スペオペ、等々、バラエティ豊かで読み応え抜群。切ない系多めかな。
宇宙探査SFとあるが、探査は冒頭1作だけでは? と、誰もが抱く疑問に訳者あとがきで釈明があって笑った。入植モノといったほうが適切な気がする。ほぼほぼ失敗だけど。

以下好きなやつ。

故郷への長い道 / フレッド・セイバーヘーゲン 著

資源惑星を探してる夫婦の船乗りが、冥王星付近で巨大な針のような建造物を発見。重力アンカーで固定されてるが、調査すると、定期的に微妙にうごいており…。

宇宙SFだと、いかに光速を超えるかを考えてしまうが、SFとはその程度ではないのだ! と教えてくれる傑作。
21エモンでもちょっと似た話があったが規模が違う。想像すると頭がクラクラする。

地獄の口 / デイヴィッド・I・マッスン 著

地の果ての崖を踏破すべく淡々とチャレンジするお話。深度が増すにつれ、どんどん正気を失ってゆき…。

ニューウェーブSFというのを初めて聞いた。純文学寄りらしい。
感情が全然描かれず淡々としていて面白い。
本作も、謎や由来をほっぽったまま延々チャレンジしおり、ちょっと不気味でよい。

表面張力 / ジェイムズ・ブリッシュ 著

播種に来た星で宇宙船が故障し、現地にミクロサイズの人類を作り、後を託すお話。

水の中でプランクトンたちと戦ってるミクロサイズの人類、という世界観が新鮮。播種に来た人類は創造前に死滅しており、新人類はゼロからのスタートで過酷だが、自然をどんどん克服してゆき、知識を増やしていく様子が面白い。世代をへて、水の上へ進出してゆく様子が描かれるが、人類のネットワークに接触するまでどれほどかかるのか、気が遠くなる。ある意味、故郷への長い道と同じお話。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #海外小説 #SF

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