『ジャマイカの烈風』リチャード・ヒューズ(著)小野寺健(訳)
ジャマイカの農園から故国イギリスへと船出した子供たちを待ち受けていたのは、海賊船の襲来だった。その日から海の男たちと子供たちの奇妙な船上生活が始まる。突発した殺人事件をめぐって、無邪気な幼い心がもたらした恐るべき結末とは―。人間についての真実を天啓のように示した、『蠅の王』にも通ずる伝説的古典。
これほど「子供」の真髄を描いた本を他に知らない。可愛く、わがままで、無垢で、邪悪。自分の宇宙をもってて、理解不能。そんな別の生き物だと痛感させられつつ、そのくせラストでは大人顔負け