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あの山の向こうに

山の向こうには何があるんだろう・・

人類の祖とチンパンジーの境が今以上に曖昧だった頃から、きっとそんな、自らの、あるいは社会の境界線を越えようとする意思の火があったんだろう。

普通に考えれば、時間を使い、筋肉や内臓を痛めつけるよりも、42.195kmなんて距離はガソリンを燃やしてエネルギーを取り出し、革張りのシートに身を埋め、空調の効いた快適な空間で移動した方がいいに決まってる。

でも毎年人口の0.2%くらいの人間が42.195kmを自分の足で完走しているのは、どんな人の身体の中にもある、境界線を超えてみたい、というエンジンにスイッチが入ってしまった人がそのくらいいるっていうことなんだと思う。

で、高山ウルトラマラソン。

42.195kmという「非常識」な距離が「常識」になってしまい、この大河の向こう岸には何があるんだろう・・・と、次の境界線に興味を持ってしまった人たちの受け皿として71km、そして100kmという距離と、馬の目の前にぶら下がった人参のように5〜10km刻みで設置された暖かい応援と魅力的な食べ物が用意されたエイドステーションで、大河を渡ってみたい、という気持ちに火をつける。

走っている人も、沿道で声を張り上げる人も、応援するために名古屋から走っていく人も(笑)、自主的にエイドを作って冷たい飲み物や温かい食べ物を用意してくれる人も、これだけたくさんの同じ思いを持った人が一緒に大河を渡るなら、きっとその向こうに広がる景色は素敵なものに違いない。

少しずつ、少しずつ、今でも人類はその境界線を広げている。人類の祖がアフリカから一歩外に踏み出したように。

今回一緒に旅してくれた仲間と、支えてくれた仲間たちに最大限の感謝を。

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