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初心者が標高1192mの雪山登山で必要だった持ち物 [英彦山の雪山登山]

はじめに

 この記事は、英彦山だけでなく「登山にはどんな装備が必要なのか」「装備品以外にどんな準備をしておくとより楽しめるのか」などのイメージを共有したいと考えて作成しました!

実際の登山の様子のレビューは別記事で紹介しています。
福岡市内から英彦山までのアクセスにまつわる情報(行き方や駐車場など)、出発までの準備の様子、登山の道程やハプニングの様子など、今回の登山経験を時系列で詳細に紹介しています。

 特に「これから登山に挑戦してみたい方」「初めて雪山に登る方」が感じるであろう

 「何を準備する必要があるのか?」
 「どのくらい体力を使うのか?」
 「どれくらい時間がかかるのか?」


といった疑問にお答えできる内容となっていますので、ぜひ本記事と併せて読んで頂ければ幸いです!


【公開記事の紹介】

第1回:出発までの準備〜登山口到着まで

第2回:登山口〜山頂まで

第3回:山頂〜下山まで

おすすめ装備(装備参考例)

 今回の雪山登山の体験を踏まえ、雪山の登山にチャレンジしてみたい方を想定した装備例を紹介いたします。
想像以上に体力消耗したことや、降雪によって他の登山者の足跡が消えていたり、想定不足によって装備が足りなかったりと、いくつかアクシデントがありました。

 幸いにも私たちは無事に下山でき、楽しく終えることができたのですが、準備不足はともすれば体調不良、怪我などに対処できなかったり遭難など事故に繋がりかねないこと、その怖さを身をもって経験しました。
自然と相対する以上、これらの危険は必ずつきまといますが、「万全な準備」と「無理のない計画と行動」を心がければ、安全に登山を楽しむことができるでしょう。
 見渡す限りの眺め、自分の足で大地を踏みしめながら味わう空気、香り、全方位から感じる音。その全てから「大自然」を感じることができ、日々の喧騒を離れ過ごす時間は格別です。

安全に登山を楽しむための一つの参考例として、ご覧ください。

カバン(バックパック)

一人当たり「最低でも20L~30L入れられる」大きさは必要です。
これについて一番の悩みどころは「どれくらいの大きさのものが必要なのか?」という点だと思います。目指す山やシチュエーションによっても持ち物の量が変わりますが、私は容量20Lのものを使用しました。

今回は荷物は友人と2人で分けて持ち込んだのですが、負荷を分散できる点でこれは大変助かりました。予算に余裕があれば、登山用のトレッキングパックを選ぶことをおすすめします。
装備の重さがうまく分散する設計になっており、遊びが少ないため重さをあまり感じず疲れにくいです。
また余談なのですが、慣れないうちは登山経験のある方と2人以上で登ることを強くおすすめします。また3人以上で登る場合、チーム編成は経験者の方が人数が多くなるようにすると良いです。(3人なら経験者2人、初心者1人)
 ※それぞれの体力差、経験差は当然ありますので、人数が増えるほどコンディションやペース、インシデントなどの管理は大変になります。

登山靴

「足の大きさにあったもの」「靴底が厚めでしっかりしているもの」を基準に選ぶとよいでしょう。今回私が履いたものは以下のものです。

ハイテック / ハイキングシューズ

理想を言えばくるぶしまで守る登山靴(ハイカット)を用意すると良いと感じました。理由は雪山でローカットの靴を履いた場合、靴の中に雪が入り、足が濡れる事で体温&体力が奪われてしまう事です。
(何より濡れてしまうとすごく不快です。。)

※ハイエンドの靴を買う際は、いきなりネットで買わずにいくつか登山用品店を回って試着したり店員の方に相談しましょう。足の形は人によって千差万別で、自分に合うものは全く異なります。またちゃんとあったものを履かないと、疲労や靴擦れの原因になってしまいます。

※登山靴のレンタルサービスもあります。
「しっかりした登山靴を一度試してみたいけどどれを買って良いかわからない」という方は利用してみても良いかもしれません。
(私も初めての登山の時に利用しましたが、ハイカットの登山靴は本当に疲れにくいです)

アイゼン(靴底のスパイク)

雪山の場合必須です。
氷山を登る時に装備するような大きなスパイクのついたものは不要で、以下のもので十分だと思います。一度アウトドア用品店などで相談し、予算に応じて準備する事をおすすめします。

SOHAPI / アイゼン(28本爪・登山・チェーンアイゼン)

※安物アイゼンなので、ゴムの耐久性が少し心配ですが、2~3度使用する程度は問題ないと思います。いきなり高いものを買うよりは、こちらで十分かと思います。

Tips:アイゼンの装着イメージ

※写真は友人
ラバーバンドで固定するタイプのもの。
意外と張力があり、外れたり緩むことはなかったです。
同じ商品でも靴のサイズによっていくつか規格があるので
購入する際は間違えないように注意してください。

ウェア

体温調整しやすいよう、複数枚を重ね着できるような構成が望ましいです。
また、真冬の雪の中でも思っている以上に汗をかきますし、先述のように足が濡れることがあるので、着替え(特にインナーと靴下)は数枚持っていくと良いでしょう。

  • 長袖のインナー、フルジップアウター2枚 (薄手&少し厚め)などを重ね着する

  • 手足が冷えやすいので、登山用の分厚い靴下や、スキー用の手袋などを用意する

  • ゲイター・スパッツなどがあればベター。
    ※友人は靴下が濡れたことで足が冷えてしまったそうで、登山靴だけでなく雪侵入を防ぐためのスパッツがあれば良いと話してくれました。

食料品

休憩時に暖を取れるよう、暖かい飲み物や食事の準備をしましょう。
(筆者はガスコンロを持ち込んで鍋料理とラーメンを食べました)
また、以下のようなすぐに糖分補給できる携行食が必須です。

  • おにぎり or パン

  • スープ

  • インスタントコーヒー

  • チョコレート

  • 塩分タブレット など

予備食糧

加えて、遭難時を想定した予備食糧を用意すべきでした。
もしも日帰りを想定していて万が一下山できなかった場合、携行食のチョコレート1袋では到底足りません。方針としては「脂質が多め」「手軽に補給できるもの」を可能な限り持ち込むのが良いと思います。

  • チョコレート
    「ブラックサンダー」などのクランチチョコや、ハイカカオチョコレートは特に熱量が高いようです。個包装の商品も多いので、手軽に携行&摂取しやすい食べ物の代表ですね。

  • ナッツ類
    脂質を多く含み、熱源として優秀
    です。特にマカダミアナッツはグラム対比でのカロリーが最も高い部類のようです。他にもアーモンド、ピーナッツ、くるみなど、好みや手に入れやすいものを選んで持ち込むと良いと思います。

  • マヨネーズ
    調べたところによれば「300gあたり2,000Kcal」とカロリー源としては申し分ないです。パン(またはお米)とマヨネーズを摂取すれば糖質、脂質を充分に摂ることができます。実際に、遭難した方が、マヨネーズのみで17日間食べ繋いで生還した事例があるようです。

予備食糧(番外編)

  • どら焼き
    糖分が多く、携行性が高い
    ため上記の食品の次点で良いと感じたのでリストアップしました。最近ではコンビニで個包装のものが手軽に買えますので、苦手でない方は携行食料に加えても良いのではと思います。

  • ピーナッツバター
    マヨネーズに次いでグラムあたりのカロリー&脂質が高い
    食品です。
    とにかくカロリーを手軽に摂りたい方向け。好きな方は、事前にサンドイッチを作って持ち込むなどアリだと思います。

  • 惣菜パン
    惣菜パンも手軽さ、携行しやすさという点で優れていると思います。
    以下の「THE カロリー」という惣菜パンは、なんと1つで1,000Kcal超えという王者の風格。少しずつ食べても手軽にまとまったエネルギー源が摂取できそうなので、登山の携行食として便利だと感じました。「ローソンストア100」で購入可能なようです。

飲料(水分)

食料と同じかそれ以上にこまめな水分補給が必須です。
先ほど触れた通り、着込んだ状態での山登りは気温が低くてもかなり汗をかきます。また空気が乾燥しているため、冗談抜きにどんどん水分が失われます。

飲み水は最低でも一人あたり1.5~2Lは必須でしょう。(多少荷物が重くなっても、飲料水は多めに持ち込むのが理想です
私たちは1人当たり保温ボトルにお茶1L、500mlペットボトルの水2本持参しました。

もし飲み水が尽きてしまった場合、自然の中から清涼で清潔な飲み水を確保することは困難(衛生面を考慮した下処理を行う必要があります)ですので、手分けしてでも絶対に多めに持ち込みましょう。

スマホバッテリー

とにもかくにもスマホのバッテリーは生命線です。

緊急時の連絡だけでなく、YAMAPという登山用アプリを使うことで現在地と登山ルートの確認ができたり、通行規制その他の情報を得ることができます。フル充電1~2回はできる容量のものを必ず持参しましょう。

 ※コンビニで調達することも可能ですが、値段がかなりお高めなのと、購入時には充電されていないものや、乾電池から給電する使い捨てタイプでは電池の固定が甘く接触不良で満足に給電できないものが中にはありますので、事前に調達しておいた方が安心です。

エマージェンシーシート

こちらは緊急時のための装備です。
一時的な避難や万が一野宿をしなければならない状況となった場合を想定しています。雪山での野宿では、低体温症の危険がつきまといます。

温度を奪われないための対策として携帯用の保温保護シートは持つべきでした。軽量&コンパクトで100円で買えるものもあるようなので、持参しましょう。

火種

今回、調理器具として家庭用のコンロとガスボンベを持参しました。
仕様上問題なかったはずが、山頂では着火しない事態が起きてしまいました。(ライターがなくて火をつけられなかったところ、貸してくれる人が現れてなんとかなりました。)
予備でチャッカマンなどを携帯すべきでした。大いに反省です。

あらゆるシチュエーションを想定して、「ライター」「マッチ」を持参すると良いでしょう。2つともそれほど高価でなく、かつ小さいので問題なく携行できます。
なお、ガスコンロはアウトドア用のものを一つ持っておくと安心です。
(とてもかさばることに加えて上記のようなトラブルもあり得るので)

全体を通した反省点

前述の通り遭難を想定した装備作り、登山計画書などの手続きを踏めていなかった点です。YAMAPアプリでも登山計画書の届出が可能ですが、まずは最寄りの登山用品店で相談してみることをお勧めします。

また、登山の際はご家族や親しい友人など身近な人に必ず計画を伝えておきましょう。登山計画書にも緊急連絡先を記載する欄がありますので、同意もとっておくとスムーズです。

加えて、念のためですが保険加入を行なっておくと良いかと思います。
怪我や体調不良、遭難した時などに救急を依頼した場合、諸費用がかなり高額になることが予想されるためです。

安全のためにと言うよりは、「万が一の際の臨時出費を抑える」目的でお勧めします。

ちなみにYAMAPアプリで登山計画を提出すると、併せて保険加入申請も可能なようです。(比較的安価かと思います)

おわりに

さて、いかがだったでしょうか。

今回の記事で紹介している英彦山(福岡県)の雪山登山は、2023年12月下旬に友人と登ったので、もう半年以上前のことになります。(記事の更新までに大幅に期間が空いてしまいました。。)

振り返り&補足のための記事ということで、どうしても登山のリスクなどについても触れる部分が多くなりましたが、登山には老若男女問わず楽しめ、感動と経験を共有できる素晴らしさ&魅力があると考えています。

「いつか登山を始めてみたい」「一人だとどうして良いかわからない」といった方は、まずはYAMAPアプリをダウンロードしてユーザー登録してみてください。登山レポートをシェアするSNSのようなスペースが提供されており、それらを読むだけでも楽しめますし、登山に必要な知識や興味が広がると思います。

今年もはや残すところ6ヶ月を切りました。
年内にあと1~2回は登山に行きたいと思っています。ちなみにこの時一緒に登った友人は今現在富士山登山に挑戦中のようです!私も一人の日本人として、近い将来挑戦したいと考えています。

今年の夏を存分に楽しむためにも、健康に気をつけてお過ごしください。それでは!!

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